2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧
私が興味があるのは、個人主義は近代の建前だが、人間はただ一人では暮らしていけず、社会に住んでいるが、その社会がどういうふうに具体的に構成されているかをみれば、別に、自立した個人の自主的な判断によってそうなっているわけではなさそうだ、という…
漠然とした物言いだが、或る国家とか社会の内部には、膨大な人々がいる。そのうちの一部は国籍とか市民権を持っており、外国人、野宿者など一部は権利を剥奪されている。そういう多数の個々人は、抽象的な個としてあるわけではなく、様々な仕方で組織化され…
消費が、匿名的で多数の群集によってなされる、というのが、20世紀以降の先進諸国の経験においては大事である。芸術も例外ではない。多くの場合、芸術作品も商品であり、市場で売られている。例えば、Amazonで売られている。商品(芸術作品)を購入するのは…
歴史をみれば、古代ギリシャ・ローマにおいて、音楽は宗教的であると共に社会的であった。それは教育的効果、訓育という効果を持つと思われていたのである。つまり、若者を柔弱にする旋法があり、剛毅にする旋法がある、というふうに、プラトン、アリストテ…
我々は、芸術音楽と商業音楽というふうな二分法を素朴に前提することは出来ない。そもそも20世紀のジャズからしてそうだったが、それは芸術性と商業性が一体になった何かである。そこにおいては、音楽家、演奏家は、芸術家でございと済ましているわけにはい…
音楽に限らないが、歴史を概念的に理解するというときの問題は、具体的な個々がそのものとしては消し去られることである。人間の歴史一般、思想史、芸術の歴史、音楽の歴史、ジャズの歴史、というふうに、しかもそれを一定の枠組みのなかで思考するとする。…
地獄絵師生き血で描く地獄絵図戦さの果ての死体の群れか 原子炉の青き光が輝けば人も自然も死に絶へてゐる
またたびの猫のまにまに鳴くものも夏の日差しに汗を掻きつつ 真夏には陽炎さえも目に見えず 兵(つはもの)が眠りの後に啜るお茶 軍票が紙屑になる真夏の日 欲張りな金持ちさえも目が醒めてダイアモンドもただの石ころ 夏の夜の地獄に堕ちた勇者ども バロウ…
ミシェル・フーコー『同性愛と生存の美学』(増田一夫訳、哲学書房)から出発し、生存の美学、芸術作品としての生というアイディアを検討してみたが、まず、根本的には、こういう考え方はフーコー晩年のカントへの回帰、『啓蒙とは何か』(岩波文庫)の再発…
考察を続ければ、性ということだが、性をただの生理的な過程とだけ考える人々は非常に少ない。例えば恋愛感情によって意味付けられたり、時には神秘主義的に意味付けられたりする。性がそういう観念に還元されることはないが、他方、純粋な身体の問題だけで…
開始は任意で構わない、というヘーゲルを私が好むのは、私自身がどんなことでも片っ端から忘れるからである。それだけではなく、たとえ忘れていない場合でも、複数の考えを実際に書くときに、どういう順番、秩序でそうすればいいか分からないからである。だ…
どの著作でだったかは忘れたが、ヘーゲルが、出発点は任意でいいのだ、という意味のことをいっている。どうしてかといえば、彼の意見では、何処から出発しようと、認識を進めていけば、必ず円環になるからで、そうすれば、最終的に同じことだからである。だ…
届いたばかりでまだ聴いていないが、山中千尋の昨日出た新譜はビートルズがテーマで、そうすると私は、高橋悠治の娘の高橋アキの『ハイパー・ビートルズ』が気になる。『ハイパー・ビートルズ』のことは十年以上前から気になっているのだが、まだ購入できて…
遥か昔だが、早稲田のあかねに十代でやってきたゲイの子がいて、私は少し彼に興味を持ったが、彼は私に無関心だったので、人間関係はなかった。振り返ってみると、そういうことは非常に数多かった。性別を問わず、またシスジェンダーかトランスジェンダーか…
身体の苦痛が激しいが、薬物、薬剤などの治療法が存在していないのはよく承知している。精神科では2001年以来十年以上もの間、ありとあらゆる薬を試したが、効果はなかったのだし、身体の薬も全く何もない。整体などの東洋的、或いは代替的な医療も無意味で…
76歳になる私の母親は尋常性乾癬という病気なのだが、これは皮膚病で、ウイルス、細菌などが原因ではなく、自己免疫系の疾患である。命に関わる病気ではないが、手足などあちこちが爛れ発疹が出来て非常に痛いし苦しいが、治療法が全く何一つ存在していない…
食欲がなく何も食べていないし、ガリガリ君を一本食べただけで、小笠原穀さん(ogatakehikkyさん)は暑いからクーラーをがんがん掛けているそうなのだが、この私はといえば、別に節電とか痩我慢などではなく、そもそも、自室のクーラーのコンセントを何処に…
私は別にひきこもっていてもいいと思うのだが、家にいても読書も音楽鑑賞もしたくなく、TVすら観たくないのは困ったものである。TVといえば『相棒』くらいしか興味がないが、再放送は既に何度も観たものだから、つまらない、ということである。世の中に存在…
ニーチェの考え方の主要な特徴を私なりに纏めてみる。(1) 神の死、「人間」の問題化、大地の意味としての超人。 (2) 道徳の歴史。 (3) 衛生学、「ロシア的運命主義」などの養生法(大いなる健康)。 (4) プラトン主義の批判。上述以外に存在論、認識論、真理…
死者からの便りを待てど届かずに歳月ばかり過ぎ去っていく あの世から聴こえる声が響いても部屋のなかには面影もなく 窓越しに街の眺めを見遣っても日頃変わらぬ住み慣れた街 超人と狂人の差は微妙ゆえ突破するのは宮崎学 眠り込む森の彼方のお姫様御伽噺も…
死に絶えて凍る心のその先にただ広がるはこの世の地獄 闇夜から闇夜に渡る旅人は言葉すらなく佇むばかり 命さえなくなる日々を過ごしても「意味」の果てには「無意味」が広がる 無情にもただ殺された人々の死骸の果てに陽が照りつける 死骸にも蛆虫が湧くそ…
今日もまたフランツ・リストを聴き過ぎて冥土に迄も逝き掛けるかも そのうちに亡霊どもが還る夜もにこやかにのみ遣り過ごすかも 人々の滅びる様をただ眺め時の流れを考えてみる 今世紀何人死ねば済むのかも分からぬ今をただ持続する 世界史はただひたすらに…
ホロヴィッツ聴き続けても深夜迄グランドピアノを見詰めているか 夜が明けて人々を見るネットでも何をしようと眺めるだけか 晩年のフランツ・リストの音楽に流れる雲の果敢なさを見る 歳月がただ過ぎていく感じさえ既に慣れれば身近なものか 夢も見ず眠り込…
hahaoya to chiba ginkou toka ni itte okane wo hurikonde kitaga, kutabireta. nomimono mo kawazu tada hitasura bonyari to aruki yume utsutsu utsura utaura shite bonyari shite ita. futawa-mukoudai no machi nimo mou akite, sukkari taikutsu shi…
女子割礼には大多数の人々が反対だと思うのだが、尊厳死、臓器移植などになると意見が分かれるであろう。治癒する見込みのない重病の人々が、個人の意志で延命治療を拒否するのは、自由、自己決定権の範囲ではないのか、と我々は考えるのかもしれない。私は…
人権概念は普遍的な価値だ、とヨーロッパ人は主張する。非西洋世界の人々は、それは近代ヨーロッパの考え方でしかない、と反駁する。どちらが正しいか判断する前に、かつての自然法という概念と比べてみてはどうだろうか。実定法、実際の法律体系には確かに…
自然には法則があるといわれるし、歴史の場合、歴史の法則、歴史の必然などは疑わしいと思うが、とにかく人間が歴史に意味を見出す、或いは、見出そうとすることは事実である。最低限、歴史が単線的に進歩するものではない、ということは感じられることであ…
ヘーゲルは『美学講義』において、「美」のステータスを「仮象」と定義したと思うが、その原語は"Schein"である。我々が日本語で「仮象」というと、限りなく「虚偽」、「嘘」に近い受け取り方だと思うが、そうではないのであり、英語では"appearance"だが、…
補足すれば、柄谷行人のベンヤミン批判は、都市を遊歩する人々が商店のショーウィンドウに陳列された魅惑的な商品の数々を眺め、そのイマージュを楽しむ、というような、美的、感性的な次元は、資本主義、資本制経済の把握として本質的ではない、ということ…
ホワイトヘッドの最もよく知られた著作は『科学と近代世界』だが、これに限らず彼の著作を読んでいて驚くのは、コールリッジなどロマン派の詩人からの引用が非常に多いことである。それはただの飾りということではなく、ホワイトヘッドはロマン主義のいうよ…