哲学

数冊でいい。

自分にとって哲学書って、プラトンの『ソークラテースの弁明』とデカルトの『方法叙説』『省察』があればもうそれで十分という気もする。何もレアなものとか超難解なものを漁る必要はない。ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン (新潮文庫)作者: プ…

ジンメル著・清水幾太郎訳『愛の断想・日々の断想』(岩波文庫)

生命の増殖だけに役立つ性的本能に、生命のことなど全く忘れた愛が結びついて来た──これは、生命からの素晴しい解放である。芸術が自然的なものを超える瞬間、同じことが見られ、宗教的なものが恐怖や期待から離れる瞬間、同じことが見られる。 愛の断想・日…

プラトン著、久保勉訳『饗宴』岩波文庫

饗宴 (岩波文庫)作者: プラトン,久保勉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/12メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 88回この商品を含むブログ (96件) を見るもう何度も読んでいるが繰り返し読む。 周知の事実だが、現代の同性愛とは同じではないとはいえ、…

ルソー『告白(上)』(桑原武夫訳、岩波文庫)

告白 上 (岩波文庫 青 622-8)作者: ジャン・ジャック・ルソー,桑原武夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1965/03/16メディア: 文庫 クリック: 16回この商品を含むブログ (18件) を見る

ハイデガー

先程のエントリーで、第二次世界大戦を契機とする現代映画に対応する「生の哲学」批判として、ハイデガーを挙げようとして、躊躇し、結局消してしまった。それは、ハイデガーは単純な「生の哲学」(生命主義)でも「実存主義」でもないとしても、第一次世界…

ローレンス

D.H.ローレンスはその短編『てんとう虫』において、第一次世界大戦がヨーロッパに残した深い傷跡を抉っている。この短編において、重要なのは、白/黒という対である。前者は崩壊した「古き良きヨーロッパ」の人間であり、死、滅亡の側にいる。主人公の夫は、…

続き

ニーチェや坂口安吾が流行するような知的状況について言及したが、それを考察するのに、ジル・ドゥルーズが著した現代映画論(『シネマ2』)を参照するのが役立つ。ドゥルーズによれば、現代映画を特徴づけるのは、ベルクソンが『物質と記憶』で説明したよう…

人気の秘密

ニーチェが人気ナンバーワンの哲学者であり、坂口安吾が人気ナンバーワンの文学者であるような流行現象を批判したが、実のところ、彼らの人気には理由がある。それは人々は極端、極限を好むということである。私は地味に地道に、芥川龍之介の短編を読み続け…

人気ナンバーワンの…

ジャズに舞い戻ってさがゆきさんの『イッツ・ソー・ピースフル』を聴く。坂口安吾と芥川龍之介の短編、寓話に近いものを続けて読んだが、安吾が徹底してナンセンスなのに対し、芥川は道徳的な教訓(オチ)を付け加える。考えると『蜘蛛の糸』とかもそうだ。…

ルソー 続き

ジャン=ジャック・ルソーについて考えてみると、いろいろと面白い。まず彼の思想は、フランス革命の原動力になったなどと言われるものの、実質的には実現しなかったといってよい。というのも、近代資本制国民国家は、ルソーが『社会契約論』で描き出したの…

ルソーとニーチェその2

さてルソーは、先程引用した箇所に続けて、次のように興味深いことを述べています。 公共教育はもう存在しないし、存在することもできない。祖国のないところには、市民はありえないからだ。「祖国」と「市民」という二つの言葉は近代語から抹殺されるべきだ…

ルソーとニーチェ

自分はドゥルーズを除いては、ニーチェをよく読んできたのですが、このところルソー、この多面的な才能に興味関心があります。 というのは、日本近代においては、西欧においては近代の極限から出てきたような思想家、作家、二人だけ挙げるならばドストエフス…

エセーより

目標の定まらない魂は、さまようしかない。なぜなら、「どこにでもいるということは、どこにもいないこと」という諺のとおりなのだから。マクシムスよ、どこにでも住む者は、どこにも住んでいないのだ。(マルティアリス『エピグラム』七の七二の六)モンテ…

「船橋現代思想」

というのはどうかと思った。フランス現代思想でもイタリア現代思想でもなく、船橋現代思想。要するに私の哲学のことですが。惰民論。

貨幣の哲学

貨幣の哲学作者: ジンメル,Georg Simmel,居安正出版社/メーカー: 白水社発売日: 1999/10メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る↓も読みたい。貨幣の哲学 (叢書・ウニベルシタス)作者: エマニュエルレヴィナス,ロジェビュルグヒュ…

市田良彦、アルチュセール ある連結の哲学(平凡社)

アルチュセール ある連結の哲学作者: 市田良彦出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/09/18メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 39回この商品を含むブログ (7件) を見る

ジャズ耳の変容

上記したようなhuman natureの可変性という観点からは、「ジャズ耳」の変容という事象も捉えうる。耳自体が、聴取を通じて形成されるものであれば、聴く音楽の質なり内容が変われば耳=感受性自体が変容するのが当然である。だが、それがどのように変わりつ…

ポストモダン的にいえば

人間本性(人間的自然)=human natureは可変的であり、どこまでも変容、変態しうるものであることになる。だが、身体という唯物的基礎は残る。どんな遺伝子操作やサイボーグ化を推進しようと、元々の土台となる身体は前提される。 ちなみにドゥルーズが目指…

ホムペ更新

哲学者攝津正 http://www.geocities.jp/tadashisettsuphilosophy/苦しくとも、意味がなくとも、単に生きる。それが私の新しい心境である。勿論心境は心境であって、哲学でも何でもないのは確かだが。人生は無意味にして苦痛なり、という私の根本テーゼは不変…

ホームページ更新しました。

哲学者攝津正 http://www.geocities.jp/tadashisettsuphilosophy/ネット乞食哲学者攝津正さて。いろいろ話はあるが、直截にいこうか。「人生は苦痛にして無意味なり。」これが攝津哲学の唯一のテーゼだ。世の中には、いわゆる人生哲学を低く見たり、正式な哲…

ニーチェ

ニーチェ―ツァラトゥストラの謎 (中公新書)作者: 村井則夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/03/01メディア: 新書 クリック: 25回この商品を含むブログ (30件) を見る

超解読!はじめてのヘーゲル『精神現象学』

超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』 (講談社現代新書)作者: 竹田青嗣,西研出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/05/19メディア: 新書購入: 5人 クリック: 32回この商品を含むブログ (8件) を見る↓も読みたい。完全解読 ヘーゲル『精神現象学』 (講談…

いま哲学とはなにか

いま哲学とはなにか (岩波新書)作者: 岩田靖夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/06/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (22件) を見る

哲学者になること

Ustreamでも喋ったがドゥルーズ=ガタリの『千のプラトー』の図式、公的教授/私的思想家でいえば、大学内の知識人が伝統的な宗教諸派だとすれば、大学外、在野、市井の評論家はいわば新興宗教のようなものだ。その脆さ、いかがわしさも含めてそうだ。そして…

仲正昌樹 / 今こそルソーを読み直す

今こそルソーを読み直す (生活人新書)作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2010/11/06メディア: 新書購入: 3人 クリック: 46回この商品を含むブログ (18件) を見る

富永厚先生

早稲田大学・早稲田大学大学院の恩師。専門はフランス哲学・思想。80歳記念にエッセイ集を出版されたという。それを私に送ってくれるという。実にありがたい。こころの風景―青春 朱夏 白秋を生きて作者: 富永厚出版社/メーカー: ブイツーソリューション発売…

カント / 人倫の形而上学

Title:人倫の形而上学(『世界の名著.39 カント』所収) Creater:カント Immanuel Kant Subject:引用, 哲学, 食人 Description: 男が女をさながら物件として享楽するために、すなわち彼女との間に単に動物的な肉体交渉における直接的な満足を感ずるために彼…

ポール・リクール / 解釈の革新

後藤さんが読んで目からウロコだったという本。探して読んでみようと思う。解釈の革新作者: ポール・リクール,久米博,清水誠,久重忠夫出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/06/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る

借りてきた。

アンティゴネーの主張―問い直される親族関係作者: ジュディスバトラー,Judith Butler,竹村和子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2002/12/01メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (23件) を見る国家を歌うのは誰か?―グローバル・ステイトにお…

文化人=プレカリアート

いーぐる掲示板で紹介されていた、ジャック・アタリの『ノイズ』はさっぱり分からなかったのだが(翻訳のせいなのか、もともと難解なのかは判断しかねる)、モーツァルトやショパンが酷い貧窮状態に置かれていたということは伝わってくる。 音楽の歴史でいえ…