ルソー 続き

ジャン=ジャック・ルソーについて考えてみると、いろいろと面白い。まず彼の思想は、フランス革命の原動力になったなどと言われるものの、実質的には実現しなかったといってよい。というのも、近代資本制国民国家は、ルソーが『社会契約論』で描き出したのとは全く異なる、議会制民主主義(間接民主主義)を採用したからだ。市民の全てが自然権を譲渡して成立する一般意志がそこにはない。常に代表制を巡る不透明がある。
また、近代教育も、一般には公教育=学校制度として実現したのであって、家庭教師による私的な教育(『エミール』のような)は一般的にはならなかった。
つまりルソーの思想は近代においては社会的には実現しなかったといえる。しかし、社会思想としても、教育思想としても、ルソーの功績は不滅である。