2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「労働」を巡って

江戸時代の労働のありようがどうだったのか、はっきりとは分からないが、我々が断片的に得る情報、資料からは、少なくとも明治以降とは違うようだ、ということになる。例えば、農民のほか、職人などとして存在していたが、近代的な労働者と比べれば、労働規…

sophus / philosophus / sophistes

【その1】 政治学者のダグラス・ラミスが『考え、売ります』という本を書いたが、勿論彼に、「考え(idea or thought)」 などといった抽象的なものを売ることができたわけではない。彼は出版社に彼の原稿を売ったのであり、出版社のほうはそれを書籍にして我…

miles away

『マイルス・アウェイ』のライナーノーツによれば、橋本一子が躁的な感じで、その解説を執筆した批評家に、私はジャズの新しい語法を発明した、と言ったが、彼は信じなかったそうである。ところが、音源を聴いてみて、考えが変わったそうだ。私には、『マイ…

限りなく、限りなく……

ドゥルーズ=ガタリの『千のプラトー』について色々考えることもあるが、その一つは、ジェヴォンズを取り上げるなら、マルクス経済学と近代経済学の関係という難問に行き当たるはずなのに、彼らがそのことを少しも考えていない、ということである。彼らは「…

『問いただす人』

2000年より前に読んだバークリの経済論について書きたいが、それは東京大学出版会から1971年に翻訳・出版された『問いただす人』というものである。そこでバークリが展開している主張を一言でいえば、アイルランドに中央銀行を創って貰いたい、というもので…

about music and sexuality

miyaさんは私のいうことが必要以上に難しい、と書いていたのだが、私自身はそうは思わないが。もし私のいうことが難しく感じられるとしたら、事柄自体、問題自体が難しいからで、冷たいようだが、安易な解決など存在していないのである。miyaさんは彼が科学…

about sexuality

記憶を辿ってみたのだが、私は、熱心にポルノ画像を蒐集する趣味はない。インターネットには無数の静止画、動画が転がっているだろうが、熱心に集めたことはないのである。その昔、最初にパソコンを購入した1998年頃のことだと思うが、outlook expressという…

「価値」を巡って

意外に思われるかもしれないが、私は議論や論争を好まない。というのは、一々誤解を解くのが面倒臭いからである。何かを「指摘」しなければならない、という場合が無数にあるかもしれないのである。com-postというウェッブサイトで、miyaさんという方から私…

プルードンとマルクス、『哲学の貧困』、『資本論』

マルクスのプルードン批判については賛否両論があり、マルクスが絶対の正義であるという教条的な意見から、マルクスはプルードンを誤解、曲解しているという弁護論まであるのだが、重要なのは、『哲学の貧困』の後に『資本論』が書かれたということ、そして…

"association", プルードンとマルクス

柄谷行人の『可能なるコミュニズム』、『トランスクリティーク』における類比、つまり、デカルト/ヒューム/カントを、「党」/アナーキズム/アソシエーショニズムに強引に結び付ける類比は余りにも乱暴で粗雑なのではないのか、と誰でも思うであろう。中央集…

"association"を考える

NAMは"associationism"を標榜していたわけだが、日本では、「連合主義」と訳されていた。が、「連合主義」の語感が古いという理由で、「アソシエーショニズム」とカナ書きされていたのである。それはどうでもいいことだが、"association"を根本に据える立場…

地域通貨を考える

大多数の人々は地域通貨に幻想を抱いていないどころか、興味もなく、さらに知りさえもしないので、私がいうことは無意味なのかもしれないが、私が2000年以降考えてきたことを少し纏めてみたい。まず、歴史を振り返るべきだが、日本の地域通貨ブームの火付け…

「啓蒙」の弁証法、光と闇。

私自身の考え方を要約しておきたいが、例えば、吉本隆明は無知蒙昧で誤謬であった、教養がなかった、と馬鹿にする多くの人々、実に偉そうな知識人の方々がいるが、私自身の批判がかつての吉本の「全否定」に少し似ているから、同じ理由で攝津も否定できるし…

応答への応答

Twitterでこういうリプライをいただいたが、私は別に賛成して欲しかったわけでもないのだが。現在あるのを「心情的市民主義」と呼んでいいのかは分からず、私が先程のエントリーで申し上げたのは、「暴力革命」しかないと主張する自称「レーニン主義者」がい…

社民党、共産党、「もっと左」。

そういうことをいう私自身は何もやっていないのではないか、ということについてだが、昔社民党に入ろうとしたことがあり、社民党の専従活動家と話し合ってみたが、結論は、党費を払うことがどうしてもできない、ということであった。それから、もう名前は忘…

「小ブル急進主義」に呆れ果てる。

私は批判するというよりも呆れているが、例えば、すが秀実はかつて揶揄的によくいわれていた「小ブル急進主義」が実は素晴らしいから、それを標榜するし自ら実行する、というようなことである。ジジェクは、現在アルカイダに期待しているが、歴史的なことで…

近頃の自称「レーニン主義者」達

私は先程「レーニン主義者」と申し上げたが、白井聡さんのようにレーニンを専門的に研究している人々もいるのだろうが、彼らというよりは、市井の人々で、最近いきなり「レーニン主義」を標榜する人々がいるのである。彼らと対話してみると、暴力革命以外に…

If you can do...

社会を変えたい人々がいるとしても、彼らの善意や信仰などがどうあれ、無理なものは無理である。まず議会についていえば、現在が小選挙区制だというのをどうすればいいのか。何に期待してもいいが(社・共だけでなく緑の党もできるそうだが)、どうなること…

「言葉」が滅びるとき

私は事実を指摘しているだけなのだし、貴方がたのくだらない「言葉」がそれを覆すことなど一切全くできるはずがない。美辞麗句やただの恣意的な空想は、それ自らの無力によって、現実から徹底的に否定され滅ぼされてしまう。それがただ一つのまともな物の見…

彼が寿命を迎え……

私の考え方を申し上げれば、こうである。石原慎太郎東京都都知事を批判する人々は多いが、選挙で彼を落とし排除することができないのならば、彼が寿命を迎え生物学的に死ぬのを待つしかない。アメリカが専制的に振る舞うのをやめさせたくても、具体的にそう…

「言葉」と信

そういうことには漠然と考え方の違いが反映されているが、岡崎乾二郎さんにとっては、言葉とか理性による対話、説得の可能性が決定的に否定され失われることは脅威であった。それによって世界が決定的に恐ろしいものに変貌すると感じていたのである。だが、…

2003年、イラク攻撃。岡崎乾二郎さんの「言葉」への信頼について。

2003年にアメリカは、大量破壊兵器を隠し持っているという理由でイラクを攻撃したが、そのことに世界中で抗議活動、反戦運動(デモ、パレードなど)が行われた。美術家の岡崎乾二郎さんは、当時、イラスト(漫画)を描いてメールであちこちに送り、シールを…

野田佳彦政権以後

昨日大量の群衆が首相官邸前に集まり、原子力発電所の再稼働に抗議したが、そのことについての感想を記者団から求められて、わが日本国の総理大臣である野田佳彦は、「声は聞こえている」とだけ答えた。私はそれは嘘で、延命のためにそう言っているだけだと…

市野川容孝のベンヤミン解釈と「優生思想」批判

市野川容孝の『社会』などを含む岩波書店刊行の『思考のフロンティア』というシリーズの中心人物は小森陽一だが、私は、市野川、小森などの意見に全部反対である。どうしてそうなのか、ということを、少し説明してみたい。市野川は、ベンヤミンの『暴力批判…

「運命論の回帰」を巡って

生、生存の肯定について昨日考え書いたことを捉え直すが、書籍を購入する金銭がない私は手元に本がないので、今すぐ正確な引用はできないが、ネグリから深い影響を受けた社会学者の渋谷望さんが『魂の労働』という新自由主義を批判した彼の主著において、現…

石原慎太郎について

昨日、石原慎太郎東京都知事が、最近生まれたパンダの赤ちゃんに「尖閣」などと名付ければいい、といっていたというニュース記事を読んで心底呆れてしまった。この人は、まさにその日、多くの人々が首相官邸前に集まって原発問題で抗議していることの重要性…

思想と現実

私は孤立しているのが悪いことだと思ったことはないが、そう感じる人々は数多い。例えば戦前に、小林秀雄が西田幾多郎について批評文を書き、西田は不健全な意味で孤独だ、と指摘した。小林が言いたいことはよく分からないが、私なりに言い直せば、近代以降…

sur "le Corps sans Organes"

ドゥルーズ=ガタリが『アンチ・オイディプス』で中心的な概念として提示している「器官なき身体(le Corps sans Organes, CsO)について少し考えてみたい。まず、それはアルトーから借用された表現である。私自身がアルトーを調べたかどうかは忘れたが、アル…

Slow Love

辻信一さんが『スロー快楽主義』で書いていた”Slow Love”を検討してみたいが、彼の論点はふたつで、老いというモーメントの重視と、男性側の射精を中心にする性急、”Fast”で即物的な考え方への留保である。男女の恋愛や性はともかく、同性愛を含めたマイノリ…

our communication vol.2

パソコンと携帯電話を比べてみて──表面的な考察で申し訳がないが──すぐに分かるのは、二つのことである。まず最初は、携帯電話は移動したり歩きながら操作できる、電車内などでも使えるということで、最近の中東の社会変革、「アラブの春」、「ジャスミン革…