柴山雅俊

『解離の構造 私の変容と〈むすび〉の治療論』岩崎学術出版社、p.225-226.

背後の空間にはかつての虐待の記憶をひとりで包み込んでいる犠牲者人格がいる。このような人格は「生存者としての私」にとっていわば身代わりの役割をしている。交代人格の起源のひとつにこの身代わりをみることができる。危機に陥った共同体が生き延びるた…

『解離の構造 私の変容と〈むすび〉の治療論』岩崎学術出版社、p.229.

お土産とはアイヌ語で「ミアンゲ」であり、「身を上げる(提供する)」ことを意味する説がある。ここには交代人格と患者がお互いにその身を通わせるさまを窺うことができる。「ミアンゲ」とは霊魂の一部であり、それの容れ物である。「身代わり」となった魂…

柴山雅俊『解離の構造 私の変容と〈むすび〉の治療論』岩崎学術出版社、p.236.

断片化した魂同士がむすばれるためには、それらが互いに包まれることが必要である。犠牲者としての交代人格は外傷の記憶をひとりで抱え込んでいた。すでに述べたように、生存者は切り離されていた犠牲者人格を包み返す必要がある。つながるとはそこでしっか…

『解離の構造 私の変容と〈むすび〉の治療論』岩崎学術出版社、p.222-223.

エリの恐怖は壮絶なもので、最近彼女と会ったとき、彼女はバラバラの死体だらけの薄暗い家に住んでいました。私が(背後空間に)引っ込んでいる時、たまにこのバラバラ死体だらけの部屋に迷い込みます。人間の血だらけのパーツだけが落ちている身の毛もよだ…