『解離の構造 私の変容と〈むすび〉の治療論』岩崎学術出版社、p.229.

お土産とはアイヌ語で「ミアンゲ」であり、「身を上げる(提供する)」ことを意味する説がある。ここには交代人格と患者がお互いにその身を通わせるさまを窺うことができる。「ミアンゲ」とは霊魂の一部であり、それの容れ物である。「身代わり」となった魂は誰かによって包まれる必要がある。外傷記憶はひとりで抱え込むのではなく、その痛みの記憶は皆で共有するべきである。「身代わり」になってくれた存在に身を通い合わせ、包むことが必要である。

柴山雅俊『解離の構造 私の変容と〈むすび〉の治療論』岩崎学術出版社、p.229.