スピノザ『国家論』

「私は特に「国家の規定によって」と断わる。なぜなら、各人の自然権は、事態を正しく考量するなら、国家状態の中においても終熄しはしないからである。実に人間は、自然状態においても国家状態においても、自己の本性の諸法則によって行動しかつ自己の利益を計るものである。人間は──あえて言うが──そのどちらの状態にあっても、希望あるいは恐怖によってこれあるいはあれをなしまたはなさないように導かれる。」(スピノザ『国家論』岩波文庫、畠中尚志訳、p.37.)