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ヴェニスに死す』の主人公は、小説を読もうと映画を観ようと、同性愛者であるという印象はありません。彼はただ単に旅行先でタッジオと出会ってしまったから、惑わされてしまったというそれだけのことです。彼は高齢だし成功した芸術家で、名声を得て、社会的にも非常に成功しています。その彼が、確かサチュロスだかが出てくる性的な内容のわけのわからぬ夢にうなされるようになります。それから、タッジオの気を惹くには自分は余りにも年老いていると考え、若く見せ掛けるために化粧すらするようになります。これは彼にとって非常に恥ずかしいし屈辱的なことです。彼はまさか自分がそのような人間だなどとは考えていませんでした。でも、タッジオに恋してしまったために、そういうことになってしまいます。けれどもそこまでやったとしても、別に彼の恋が実るというわけでもありません。極めてつらい物語です。最終的に疫病が流行します。タッジオは家族と一緒に避難しましたが、主人公である老人は助からなかったと思います。