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グスタフ・マーラー(Gustav Mahler(1860-1911))『交響曲 第5番 嬰ハ短調(symphony no.5 in C sharp minor)』ですが、これは一般には、ヴィスコンティが彼の映画『ヴェニスに死す』でその第四楽章、アダージェットを全面的に使ったということで広く知られています。確かに美しい音楽ですが、この交響曲は第四楽章だけではなく全体が素晴らしいです。実に完璧な音楽です。ところで、『ヴェニスに死す』についていえば、トーマス・マンの原作小説においては主人公は成功した老作家でしたが、ヴィスコンティはそれを音楽家だという設定に変えてしまったと記憶しています。タッジオという名前の美少年が出てきます。映画でタッジオ役を演じた少年俳優はなるほど美しかったとそう私も思います。タッジオは家族に連れられて旅行で当地を訪れ滞在しているのです。旅行で来ているのは主人公、作家だろうと音楽家だろうとどちらでもいいのですが、彼も同じです。主人公の芸術家がタッジオを見掛け、恋に落ちますが、結果、悲惨なことになってしまいます。橋本治が『蓮と刀』で意地悪な分析をしていますが、非常に残酷な小説であり映画だと思います。