近況アップデート

ちなみに三木清マルクス主義者になったのは、福本和夫の(ルカーチの『歴史と階級意識』に影響された)「福本イズム」の成功、大流行を見て、自分ならもっとうまくやれる、という野心を抱いてしまったからということですが、その福本和夫は三木清を(そして三木清だけではなく戸坂潤も)観念論的偏向だといって否定しています。福本和夫も何十年も投獄されますが、獄死せず戦後も生き延びましたので著作活動を続けますが、彼の書いたものの中心は日本ルネッサンス史論というものです。それは近世の日本の歴史認識の問題ですが、どこまで実証性があるのかは私には判断できません。そして晩年には生産協同組合を重視するようになります。石見尚(『第三世代の協同組合論』)は晩年の福本和夫の弟子ですが、彼の価値形態論の解釈はよく分からないというか、率直にいえばトンデモだと思います。