書評:「戦後時代」の夕焼けの中で
昨日ちょっと読んだ諸橋泰樹『「戦後時代」の夕焼けの中で:ポピュリズムとルサンチマンの同時代を読む』(現代書館)の感想を書く。著者の諸橋氏は1956年生まれのマス・コミュニケーション学、女性学、社会学研究者で、他に『ジェンダーの罠』、『ジェンダーというメガネ』、『ジェンダーとジャーナリズムのはざまで』、『メディアリテラシーとジェンダー』などの著書がある。
一読してみて、私は基本的に非常に共感を感じたが、それでも諸橋氏の基本的な考え方、枠組みは一般的で典型的な左派のもので、その観点から小泉政権、(第一次)安倍政権を批判しているものに思えた。だが、倫理や道徳に訴えることの限界も強く感じられた。
諸橋氏は、メディア、ジャーナリズムの責任を強調している。確かに、そういうものはある。しかしながら、国民がマスコミ報道に踊らされたという理由だけで小泉政権以降のこの十余年があるはずがない。それだけのことでは、例えば先月の選挙結果、現状も理解できない。そう思うのだが、どうだろうか。
「戦後時代」の夕焼けの中で―ポピュリズムとルサンチマンの同時代を読む
- 作者: 諸橋泰樹
- 出版社/メーカー: 現代書館
- 発売日: 2009/10
- メディア: 単行本
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