サッチモ、ハインズなど
ルイ・アームストロング、アール・ハインズが「近代人」とだけいえるのかというのは、そうですね。エリントンとの違いをどう劃定するか、ということはありますが…。ハインズについては、もっとよく調べたいですね。特に彼の戦前、1920-1930年代の録音をあれこれ調べてみたいです。繰り返しになりますが、ハインズを聴くと、「近代的」であるかどうかはともかく、とても完成されたスタイルだ、と思うんですよ。ハインズ以前、ジェイムズ・P・ジョンソン、ジェリー・ロール・モートンについては、私自身が所有している資料、音源が限られていますから、判断を保留します。こういうことについては林さんがご専門でしょう。
ジャズにおけるポスト・モダンが判然としないとの後藤さんの御意見、同感です。私は、こう思うのですよ。もし、1990年代以降に激変があったのだとしたら、ジャズというジャンルそのものを吹き飛ばしてしまうようなものなんじゃないでしょうか? もし、それが往復書簡でいわれていたような、フリー以上、バップ以上の根本的な変化で、我々の感性、感受性を超えてしまうようなものなら、それをジャズと呼び続けるかどうかというのは、単に言葉のうえだけの問題というか、スコラ的な問題だと思うんです。エピステーメーという考え方と比べるとしたら、ジャズのなかでエピステーメーが組み換わるというよりか、音楽、ポピュラー音楽という枠組みのなかでの激変の結果、ジャズとは異なるポピュラー音楽を人々が聴き始める、というような。後藤さんがブログで言及しておられたアメリカ黒人の音楽の嗜好の変化などを考慮すると、そういう方向に進んでいるんじゃないかな、と感じますが。