生をあざ笑うほうが、それを悲しむよりも人間にふさわしい。

それゆえわれわれは方向を換えて、人々が一般にもっている悪徳は、すべて憎むべきものではなく、むしろ笑うべきものと見るがよい。ヘラクレイトスよりもむしろデモクリトスを真似るがよいのだ──ヘラクレイトスは公衆のなかに進んで行くたびに泣いたが、デモクリトスは笑ったからである。前者には人間のしていることがすべて哀れに見えたが、後者には愚かに見えたのだ。それゆえわれわれも万事を軽く見、楽な気持で堪えねばならぬ。生をあざ笑うほうが、それを悲しむよりも人間にふさわしい。》(セネカ『人生の短さについて 他二篇』茂手木元蔵訳、岩波文庫、p.110)

人生の短さについて (1980年) (岩波文庫)

人生の短さについて (1980年) (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)