近況アップデート

ホロヴィッツの『モスクワ・ライヴ1986』を聴いていますが、最高に素晴らしいですね。ホロヴィッツは1989年に亡くなっていますから最晩年ですが、どの曲も音そのものが非常に綺麗です。

橋本治の『蓮と刀』(河出文庫)ですが、手元に本がありませんので正確な引用ができませんが、昔からどうしてこういう残酷なことを書くのか疑問でした。夏目漱石トーマス・マンについて論じるのはいいと思います。でも、当時のゲイ雑誌『薔薇族』の読者文通欄の文章の揚げ足を取って非常に残酷な分析をしてしまうとかいうのはどうなのでしょうか。それは倫理的などということとは違うような気がします。

『極楽迄ハ何哩』を読もうと『蓮と刀』を読もうと、当時の、つまり20代の橋本治が現実の同性愛の人々を憎悪しているというふうにしか思えませんでした。確かに彼はいろいろと嫌な思いをしたのかもしれませんが、だからといって同性愛の人々を滅茶苦茶に否定してしまうというのは、いかがなものかと思います。

1970年代だろうと、2012年の現在だろうと、同性愛の人々がとりたてて倫理的、美的ということはないでしょう。別に普通の人々なのだから当たり前です。そのことを物書きが非難したり罵倒してもしょうがないだろうと思います。