近況アップデート

南条あやのことを考えていました。彼女には『卒業式まで死にません』(新潮文庫)という死後に出た著書がありますが、その解説を香山リカが書いています。私は、山田花子(『自殺直前日記太田出版)、南条あや(『卒業式まで死にません新潮文庫)、二階堂奥歯(『八本脚の蝶』ポプラ社)のことを並べて読み考えていますが、彼女らの書いたものをよく読んでみますと、二階堂奥歯が死んだのは致し方がなかったように感じます。けれども山田花子南条あやはそうではなかったと思います。山田花子は、何度も書いているように、精神病院で医者から分裂病だといわれて絶望して死んでしまいましたが、もしその医者が病名告知にもうちょっと慎重であったならばそういうことにはならなかったのではないでしょうか。もちろん山田花子の時代に既に分裂病は治る(少なくとも、治る可能性の十分にある)病気になっていましたが、彼女にはそのことが分からなかったので、もう漫画が描けないと思い込んで死んでしまったわけです。

八本脚の蝶
http://homepage2.nifty.com/waterways/oquba/

南条あやというのはペンネームです。生前、彼女はサブカルチャーの雑誌のライターであり、非常に才能があり、文章が面白かったので人気者でした。私はそのことが治療には良くなかったと思います。というのは、彼女は精神科に通院、入院して精神科の薬物などをもらいますが、それをオーヴァードーズしてしまいます。リストカットも頻繁にやります。もう癖のようになってしまっているわけですが、そういうことを雑誌に書くから読者にうけるのです。そうしますと、読者の反応がいいのでまた同じようなことを繰り返す、といったことになってしまいます。

そもそも彼女の書いたものを全部読んでも、結局病名は不明です。死の真相も不明です。自殺疑いだったか推定自殺だったかになっていると思います。南条あやは頻繁に手首を切っていたのですから精神的に不安定ではあったのでしょうが、何よりも彼女は、精神科、精神病院にどんどん行きたいし薬物がなんでも欲しい、というような薬物マニアだったのです。

南条あやは当時精神科の薬物について書いていた、しかし精神医療についてはまるで素人であったようなライターの弟子のようなものとして、その人に庇護され推挙されて物書きになりました。ウェッブサイトも、そのライターのウェッブサイトの一部を借りていました。けれども、不幸なことですが、師匠よりも弟子のほうが物書きとして遥かに才能があるのは自明でしたので、嫉妬されてしまいました。南条あやが自分のウェッブサイトを作りたい、独立したいというときに、その師匠のライターは、全く協力してくれませんでした。ですから南条あやとその恋人が全て煩瑣な手作業でファイルを移行しなければならなかったのです。それが非常に大変であった、ということが今は消滅してしまった「南条あや保護室」などで(恋人であった人間によって)回想されています。

南条あやの書き残したものを読みますと、離婚でもしたのでしょうか、母親が不在です。しかし、父親がいます。親子は愛し合っていたのでしょうが、しかし、コミュニケーションが取れません。南条あやが病気になったり、手首を切るのが父親のせいであったなどということは全くいえないでしょうが、父親の言動についいらいらしてリスカやオーヴァードーズをしてしまうということがあったようです。

彼女は父親について随分ひどいことも書いていますが、父親は娘の死後にそれを読んだのでしょうが、リアルタイムでは読んでいないはずです。

さて、Ustreamの時間ですので、続きは後ほど。

卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)

卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)