Vladimir Horowitz "The Last Recording"

ウラディミール・ホロヴィッツの『ザ・ラスト・レコーディング』を聴いています。1989年10月20日から11月1日にかけてのレコーディングで、その4日後、1989年11月5日に彼は85歳で急逝しました。内容は、ハイドンのピアノ・ソナタ第59番変ホ長調ショパンマズルカ第35番ハ短調ノクターン第16番変ホ長調、幻想即興曲嬰ハ短調エチュード変イ長調エチュードホ短調ノクターン第17番ロ長調、リストの「バッハのカンタータ第12番の主題による前奏曲『泣き、嘆き、悲しみ、おののき』」、ワーグナー=リストの「トリスタンとイゾルデより『イゾルデの愛の死』」です。演奏内容も素晴らしいですが、特にすごいのは、全曲初レコーディングだということです。ホロヴィッツはレパートリーが広いピアニストではありませんでしたから、基本的にお気に入りの曲を繰り返し演奏し録音していたわけですが、最晩年になってもこれだけの前進意欲があったというのには心底驚かされます。

ザ・ラスト・レコーディング

ザ・ラスト・レコーディング