近況アップデート

マーラーの話をしますが、別にマーラーを専門的に研究したわけではありませんし、そのようなことが可能な環境もありませんでした。私の知識の多くは、もう監督の名前も忘れましたが、『マーラー』という映画に基づきます。

さて、マーラーは死を異常に恐れていました。どうして『交響曲大地の歌」』には番号が振られていないのでしょうか。それは、彼が、ベートーヴェンが第9番まで交響曲を書いて死んだから、自分も第9番を書いたならば死んでしまうのではないかと思ってしまったからでした。だから、『大地の歌』には番号が振られていません。けれども、マーラーはその後そのような根拠のない呪術的な強迫観念から解放されて、第9番のシンフォニーを書きます。けれどもそれで死んでしまったと思います。マーラーの第10番があったかどうか、私は知りません。

映画『マーラー』を信じるならばこういうことです。長年マーラーは死の不安や恐怖に脅かされていました。けれども苦しんだ末にそれから解放されました。その映画のラストは、マーラーが「僕は生きる!」と晴れやかに決意するという場面でした。けれども皮肉なことに、それから間もなくして、マーラーは心臓発作で亡くなってしまいます。

それから、死の問題からは離れますが、マーラーの奥さんになった女性は音楽の才能があり、作曲家としてやっていきたい希望がありました。でもマーラーが抑圧したのです。自分が偉大な作曲家であるから妻は作曲などしなくていい、それがマーラーの考えだったのです。現代の我々からすれば、そのようなことは少し横暴なのではないだろうかと思ってしまいますが、19世紀末頃はまだ世界はその程度の状況だったのです。