死の欲動と器官なき身体(CsO)

フロイトは、死の欲動を、生命(有機的状態)から単なる物質(無機的状態)へと還帰しようとする欲求だと考えた*1ドゥルーズ=ガタリがアントナン・アルトーから借用した器官なき身体CsO)という概念も、器官化=有機化に抗う運動であり、理念的な意味での死の経験である。私は、私の死を本当には経験することができぬ。が、それへと無限に漸進することはできる。それが器官なき身体CsO)が強度量ゼロであるという意味である。

アンチ・オイディプス(上)資本主義と分裂症 (河出文庫)

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アンチ・オイディプス(下)資本主義と分裂症 (河出文庫)

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千のプラトー―資本主義と分裂症

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心的現象論序説 改訂新版

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*1:ちなみに吉本隆明はこれを、『心的現象論序説』で、「原生的疎外」と呼んでいる。生命なき無機的状態から、生命が生まれるとすると、それは生きているというだけで生を持たぬ外界から疎外されている。この疎外を打ち消し、生命なき無機的状態に還帰しようとするのが死の欲動である。