戦争と徳

戦争に参加することが市民の徳と考えられた時代があった。例えばソクラテスデカルトは兵士になっている。しかし、技術の「進歩」──これは皮肉な意味だが──のためもはやそうした議論は成り立たなくなった。先ず、戦争は、市民のものではなく、一部の戦争専門家のものとなった。また、湾岸戦争が典型だが、圧倒的な彼我の戦力の差を背景に、一方的なジェノサイドの様相を呈するようになった。こうした時代には、もはや戦争に参加することではなく、それを拒否することが勇気の証しである。