X Day

またしても「テレビとマンガ漬け」とか言われそうでちょっと気がひけるが、昨晩『相棒』劇場版『X Day』を観た。杉下右京たちではなく伊丹刑事とその臨時の「相棒」が活躍するお話だが、金融破綻というか金融操作がテーマで面白いと思った。民主党政権というか震災後の映画だと思うが、財務省金融庁などの官僚や政治家たちが、Xデーつまり日本の経済が破綻して日本銀行券が紙くずになる日を準備している。国民を少しずつ馴らすために(だったかな?)、連日、一部の銀行で取引ができなくなるシステム障害を故意に引き起こしている、という設定で、そのなかでそれを暴露、内部告発しようとした銀行員が一攫千金を夢見るチンピラに殺されるというストーリーです。

それはそれだけの話なのだが、お話というか物語の構成として観ていて気になったのは、上述の殺人事件の犯人は逮捕されるが、金融破綻や故意のシステム障害などの大枠のそれは全く解決も何もされないということで、ラストシーン(伊丹刑事がATMでお金を引き出そうとするがシステム障害でできない)から推測するにそれは制作者サイドがわざとそうしたのだろう。それはそう思うが、なんとなく消化不良気味というか、そういうデカい設定が活用されていないというか、なんというか。「大山鳴動して鼠一匹」と申しますかね。別にいいのですが。

ぼくはドラマなどはうるさいことを言わずに愉しめばそれだけでいいのだという意見の持ち主だが、それでもこれを観ながら、今日にまで続く経済や金融についての様々に喧伝されていること、陰謀論や政権批判を含めて、経済や金融が破綻するとかしないとか、ハイパーインフレで日銀券が紙きれになるとかならないとか、高度に発達した現代ハイテク社会ではちょっとした技術的トラブルが一大事になるとかならないとか(確かにそういうことはある)、そういう言説言論の数々を想い出さないわけにはいかなかった。どういえばいいのか、いわゆる財政規律派とか財政健全化派の発想なのか? 日本もギリシャのようになるとか、ヨーロッパのどこぞの国のようになるとかならないとか。辛坊治郎に『ある日、この国は破産します――日本経済の真実』とかいうのがあるよね(→http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F%E2%80%95%E3%81%82%E3%82%8B%E6%97%A5%E3%80%81%E3%81%93%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AF%E7%A0%B4%E7%94%A3%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99-%E8%BE%9B%E5%9D%8A-%E6%B2%BB%E9%83%8E/dp/4344018168)。それはそうだが、大胆な金融緩和を主張するリフレ派の経済学者たちからど素人のトンデモ経済論、ナンセンスと批判されているものですよ。そういう経済破綻が来るよ、狼が、狼がと言っているのは浜矩子もそうだよね(→http://www.amazon.co.jp/浜-矩子/e/B004L4RYYQ/ref=sr_tc_2_0?qid=1398630849&sr=1-2-ent)。ぼくは浜の意見を信用したことがありませんが。

というようなですね。暢気というのか暢気じゃないのかわからないテレビ鑑賞でございましたよ。今日も配達かな。

相棒シリーズ X DAY [DVD]

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