隠者と無縁
宮本太郎の本が届いたから図書館に行こうと思ったが、すぐに断念し、今持っている本を少し読み進めることにした。昨日以来読んだ幾つかの本について、簡単な感想を記しておきたい。
まず、『ベアテと語る「女性の幸福」と憲法』。ベアテの人柄が窺える点で非常に興味深いが、私が注目したのは、彼女が社会保障的な内容も盛り込もうとしたが、上司に反対されて頓挫した事実である。それについては、戦後、女性達の運動が権利要求しなければならなかった。それから、GHQにおけるマッカーサーの位置である。まず、天皇制温存は彼の意向であり、且つ、彼はGHQ内部でもワンマンで皆から畏れられていた。
植村邦彦『市民社会とは何か:基本概念の系譜』だが、ヘーゲル『法の哲学』の訳注で「市民社会」概念の簡単な系譜を読んではいたが、この書物はそれの詳細な展開である。
一番気になったことは、市民社会概念の文献的な展開だけでなく、現代において、NGOとかNPOなどの市民活動を背景に、「現代は民主主義ではなく官主主義だ」という批判が市民主義者からなされる場合はどうなのか、ということだが、それは新自由主義的な論理と親和的な発想ではないだろうか。官ではなく民というときの「民」のイメージを具体化し豊富化しなれば、「民」が主役といっても抽象的になってしまうのではないか、と思った。
富永茂樹『トクヴィル:現代へのまなざし』、大量破壊兵器委員会『大量破壊兵器:廃絶のための60の提言』についてはもう少し検討が必要である。近代の民主主義論の系譜を押さえるうえでトクヴィルという人の理解は欠かせないと思うが、私は彼をそれほど知らないのである。
内橋克人(編)『大震災のなかで:私たちは何をすべきか』を今読んだが、私は、自分が3.11以降いかに全く何もしてないか、ということを考えてみた。それは特に、自分が船橋市に住んでおり、東北の住民ではなく、今後東北を訪問することも絶対にないだろう、という見込みに基づいている。テレビや新聞、インターネットで情報を集めたり映像を観たというくらいのことは何ほどでもないだろうし、計画停電でほんの少し不自由したという程度のことは被害でも被災でも何でもないと思うからだ。
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