Kさんの死

76歳になる母親の同級生のKさんという男性が、別府で医院を開業していた。こちらからは一度も返事を出したことがないのに、年賀状や暑中見舞い、残暑見舞いなどを律儀に送り続けてくれていた。昨晩、母親が一度返事でも書いてみようかと思い立ち、別府の妹に電話を掛けたそうだ。

ところが、そうすると、Kさんが二ヶ月前にお亡くなりになった、と知らされた。詳しい病名などは分からない。母親と同級生ということは、年齢を考慮すれば何があっても不思議ではないのだが、私自身はKさんと面識はなかったが、ご挨拶を戴くだけ戴いて、こちらからお返事を差し上げないのは心苦しく感じていた。これでお返事を送る機会は永久に失われてしまったわけである。

凡庸な言い方だが、人は誰でも必ず死ぬ。それは確かにそうなのだが、我々一家と少しでも繋がっている諸個人は余りにも少ない。そのなかの一人が、この世からいなくなってしまった。ご冥福を祈りたい。