まず他の人間の中に、自分を照し出す……

このことは、商品と同じようにいくらか人間にもあてはまる。人間は、鏡をもって生まれてくるものでも、フィヒテ流の哲学者として、我は我であるといって生まれてくるものでないのであるから、まず他の人間の中に、自分を照し出すのである。ペーテルという人間は、パウルという人間にたいして、自身に等しいものとして相関係することによって、初めて、自分自身に人間として相関係する。しかしながら、このようにしてペーテルにとっては、パウルなるものの全身が、そのパウル的肉体性のままで、人間という種の現象形態として考えられるのである。(マルクス資本論 第一分冊』エンゲルス編、向坂逸郎訳、岩波文庫、p.98)

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)