時の裁定
「……タレスの後継者であり弟子である、ミレトス人、プラクシアデスの息子アナクシマンドロスは、……〈ト・アペイロン〉(無限なもの)を存在者のアルケーでありストイケイオンであると言ったが、……彼は、〈アルケー〉というまさにこの言葉を導入した最初の人物であった。……彼は言う、《アルケーは水でもなければいわゆるストイケイオンのうちのなにか他のものでもなく、なにか別のアペイロンなるフュシスであって、……そのものからすべての天とそのうちにある世界が生じてくるところのものである、と。……そして存在するものどもにとっての生成がそれらからであるところのそれらへと、『必然によって』破壊もまた起こるのである。『なぜなら、それらはみずからの犯した不正に対して、時の布告に従って、互いに裁きを受け、償いをしあうのであるから』》と、こんなふうに、どちらかというと詩的な言葉づかいをして、語っているのである。」
山川偉也『古代ギリシアの思想』講談社学術文庫、p.48から、シムプリキオスの報告。
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存在するものどもは、それらがそこから生じてきたところの、そのものへと必然に従って、また消滅するのだ。というのも、それら(存在するものども)は、時の定めに従って、たがいに、不正にたいする罰を受け、償いを支払いあうことになるからだ。
廣川洋一『ソクラテス以前の哲学者』講談社学術文庫、p.213からアナクシマンドロスの言葉。
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110 シンプリキオス『アリストテレス「自然学」注解24, 17(資料101Aより採録)
……何かそれらとは異なる無限なる本性のものであって、それからすべての諸天界およびその内部の諸世界は生ずる。そして存在する諸事物にとって生成がなされる源となるもの、その当のものへと消滅もまた「必然に従ってなされる。なぜなら、それらの諸事物は、時の裁定に従って、交互に不正に対する罰を受け、償いをするからである」と、このように、やや詩的な言葉づかいによってそのことを語っている。
G.S.カーク J.E.レイヴン M.スコフィールド『ソクラテス以前の哲学者たち(第2版)』(内山勝利・木原志乃・國方栄二・三浦要・丸橋裕訳、京都大学学術出版会)、p.155。
- 作者: ジェフリー・スティーヴンカーク,マルコムスコフィールド,ジョン・アールレイヴン,Geoffrey Stephen Kirk,Malcolm Schofield,John Earle Raven,内山勝利,國方栄二,丸橋裕,木原志乃,三浦要
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