近況アップデート

私はブルックナーが面白いと思ったことがありません。慣れていないからだと思います。彼のシンフォニーの余りの長大さを退屈に感じないためには、「ブルックナー的なもの」に慣れ親しむ必要があるのでしょう。フルトヴェングラーの同時代人でクナッパープッシュという人がいます。大指揮者であるといわれています。そのクナッパープッシュの指揮でブルックナーを聴いてみたことがありますが、やはり楽しめませんでした。そのようなことは、シューベルトのピアノ・ソナタを想起させます。シューベルトのピアノ・ソナタには構成上の欠陥があると長年考えられてきました。それは余りに反復が多く冗長、長大なので、弛緩していると思われていたのです。けれども前世紀の終わり頃、ポリーニブレンデルといった一流のピアニスト達が積極的にシューベルトのピアノ・ソナタを取り上げ、演奏するようになって、シューベルトの評価は変わりました。「シューベルト的反復」はそれはそれで面白いのではないか、と考えられるようになったのです。もちろん私はお金がありませんから、その全てを聴いたわけではありませんが、ポリーニの演奏するシューベルトを聴いて、なるほどこれはこれで面白いし意味があるものかもしれないな、と思ったことはあります。