『みだれ髪』四首目

  • 血ぞもゆるかさむひと夜の夢のやど春を行く人神おとしめな

先程言及した、「春」「神」が出てくる。この一首をそれだけで読めば、意味がよく分からない一首である。「春を行く人」とは自らの内なる春=青春の情熱のままに生きる人(女性? 作者自身?)のことだろうか。それに「神おとしめな」と戒める。『みだれ髪』を通読するとどうも「神」は例えばキリスト教の神などではなく、恋人である男性を指すようだという私の印象が正しければ、恋人をおとしめるなと読めるが、それでいいのだろうか。「血」や「夢」といった喚起的な言葉も用いられていて、一首の雰囲気を高めている。