『みだれ髪』冒頭の一首

  • 夜の帳のささめき盡きし星の今を下界の人の鬢のほつれよ

与謝野晶子は後年、自分の初期の作を否定したが、与謝野晶子への関心や研究は『みだれ髪』、特にこの冒頭の一首に集中している。
発表当時、保守的な人達が反道徳的だと非難したのもこの歌であった。が、道徳的か反道徳的かという以前に意味が取りにくい。後の彼女は、自分の若い頃の歌には、感情を一首に盛り込み過ぎて自分で読み返しても意味のわからぬものが多くある、と言っているが、『みだれ髪』に収められている歌の多くがそうだったのではないか。
ただ私は、難読である、意味が取りにくい、ということを必ずしもマイナスとは思わない。