等価と比較不能

後藤さん記:

等価というより、比較不能ですね。まあ、あそこでは、世間ではハイカルチャーサブカルチャーを必要以上に上下関係で見るようなので、そんなことは無いんだよ、と言いたかったわけです。

thinkを読んだ時、私が連想したのは、ポストモダン期の吉本隆明の、『資本論』と『窓ぎわのトットちゃん』を同じ平面で読む、といういささか挑発的な物言いでした。
吉本隆明におけるハイカルチャーサブカルチャーの関係はもうちょっと複雑なのですが。彼はサブカルチャーの大家達(例えば椎名誠栗本薫)を「向こう側の巨匠」と呼び、一定評価します。他方、ハイカルチャー的なもの、例えば純文学(古井由吉のような)もそれとして評価します。著作においても、ハイカルチャー(哲学や現代音楽など)は『ハイ・イメージ論』で、サブカルチャー(漫画など)は『マス・イメージ論』で論じています。ただ問題は、『ハイ・イメージ論』のライプニッツ論やジョン・ケージ論が意味不明なことです(笑)。