ソクラテス(ソークラテース)への共感
体調-精神状態はますます悪くなり、悪化の一途を辿り、私は死を度々考えるに至った。『完全自殺マニュアル』──これはいつも机の脇に常備してある──を開いたりもした。
私の苦しみを家族は理解しない。そのつもりもないのに、「入院させる」とか何とか適当なことを言ったり、怒るばかりである。が、私は深刻に具合が悪い。……
それでも今日も無数の書物を読んだ。まるで理解できぬものも多かったが、最も心に沁みたのは、なんとプラトンであった。
私が最初にプラトンに触れたのは高校生か中学生の頃だったと思うが、その頃私はソクラテス(ソークラテース)に反感しか抱かなかった。特に『パイドーン』における、国法を遵守する故悠然と自死するという選択に無意味しか見ることがなかった。
しかし、私は、最近偶然──本当に偶然──開いた『ゴルギアス』(岩波文庫)でも、『ソークラテースの弁明』(新潮文庫)でも、ソクラテス(ソークラテース)の発言のほうに共感できるのである。本当に偉大なる哲学的精神だと感じる。
このような趣味嗜好の変化が生じるというのは、やはり加齢の影響であろうか。私は、プラトン-ソクラテスの言葉を読むが故に、死を選ばずにいられると今は感じている。
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