新しい神様/土屋豊・雨宮処凛

新しい神様 [DVD]

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久々に映画を観た。感想というほどの感想はないのだが、僕は民主主義や平和に端的に肯定的であり、破局を待ち望む人々とは連帯・協働できない。彼・彼女らは、日本の平和がいつまでも続くと信じている。そのうえで、それに反吐が出ると言っているのだ。が、僕は日本の平和が永続的だとは思わない。日本の括弧付きの「平和」は、第二次世界大戦後の米ソ冷戦構造の中で偶発的に生じたものであり(それについては、
リージョナリズム (思考のフロンティア)

リージョナリズム (思考のフロンティア)

に関する倉数茂の書評を参照されたい)、そうした世界大の構造が破綻した現在、極めて脆く疑わしいものになってきている。

かつての日本の「平和ボケ」が非倫理的であったとは言えるかもしれない(朝鮮半島ベトナムラテンアメリカ等々で起きていた戦争に関して批判的にアンガージュマンしていない限りにおいて)。だが、戦争、破局、死を望み欲望するほうが倫理的だとは言えない。僕は破局は単に「現実的」だと思う、だからこそそれを避けるべく努力せねばならない(たとえ手遅れかもしれないにせよ)と考える。環境危機であれ、戦争であれ、その危険性は「現実」のものであり、妄想だの欲望のレベルにある事柄ではない。われわれは破局を前に選択すべきなのだ。破局を望み、促進しさえするのか、それともそれに否を言うのかを選択しなければならない。それは大きな物語がどうのといった単なる言葉とは関係がない。