柄谷行人の言説

柄谷行人の言説は、左翼じゃないね。彼はくじ引きとLETSさえやれば、資本制企業でいい、と思っているから。反資本主義、反グローバリズムじゃない。僕は柄谷行人に対して、とりたてて愛も憎しみも抱いていない。単に、係わり合いになってしまったから、それを引き摺っている、というだけだ。僕はカントやフロイトを使って欲望を抑圧する柄谷行人の言説に、もともと反感を抱いていた。柄谷行人の言説の枠組みでは、平和を実現するのは、戦争神経症を通じて、ということになる。僕は全くそうは思わない。平和は肯定的で積極的な欲望によって実現されるものだ。僕達が心から望み、欲すれば、平和が実現できるはずだ。トラウマやら苦悩やらによって、結果的に平和になるのではない。僕は柄谷行人の傲慢な言説よりも、ガタリコミュニズムを継承したネグリ=ハートやパオロ・ヴィルノらのマルチチュード論のほうが現状分析として優れている、と思っている。