誇り高い変態の歌を聴け!

皆さんは、この世界が「典型的な男と女」だけから成り、そして男と女が愛し合うのは「普通」で「自然」なことだと思い込んでいないだろうか? 実際、性自認に揺らぎがない異性愛者が多数派を占めてはいる。だが、多様な性的少数派、「変態」「おかま」と罵られたり嘲られたりする存在が確かにいる。私も性的少数者の一人──バイセクシュアル──である。

普通に暮らしていて、この社会が強制異性愛社会だと感じることは頻繁にある。例えば、友達と話していて、その場に女性(に見える人)が現れたとする。友達が私に、「攝津さんの彼女!?」などと囃し立てる。彼・彼女らに悪意はないのは分かるのだが、それは無神経だと感じざるを得ない。彼・彼女らは、私の友達なのだから、私が性的少数派、即ち「典型的な男や女」ではない人であることを承知しているはずである。それなのに、世界が典型的な男女で成り立ち、異性愛が前提であるような条件で物を言うのだ。

また、こんなこともあった。飲み会の席で、誰かが延々と異性愛のセックスについて話し続け、男が女を愛するのは当然で自然なことだ、といった態度を取ったりする。すると、私などは非常に居心地が悪い。そういう場では、異性愛が当たり前の前提とされていて、性的少数派はいないことにされてしまっている。声を挙げ、不快なものは不快だとはっきり表現しなければ、そもそも存在自体が認知されないのだ。

私は友人らがやっている、京都★ヘンナニジイロ祭に参加するため、関西に旅行して多くのクィア映画を観た。それはそれ自体、刺激的で、愉しい交流になった。自分自身映像を創りたいという気持ちになったし、映画祭に出品したいとも思った。

http://kyoto-henna.org/

京都での交流の席でも話題になったのだが、東京では、マッチョな石原慎太郎都知事が、「景観」を口実に新宿二丁目性的少数者のコミュニティ)を規制しようとしている。そういったことにも反対し抵抗していかなければならないし、少数者の連帯や協働を広げていかなければならないと思った。