<米国>ブッシュの中東政策に懐疑心 ハマス台頭で危機感

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<米国>ブッシュの中東政策に懐疑心 ハマス台頭で危機感
(毎日新聞 - 02月18日 14:06)
 【ワシントン笠原敏彦】ブッシュ米政権の中東民主化政策への懐疑心が米国内で強まっている。選挙によるパレスチナでのイスラム原理主義組織ハマスの台頭などに危機感が広がっているもので、下院外交委のハイド委員長(共和党)は16日、「世界を米国のイメージで作り変える」という超大国の「おごり」に言及し、警告を発した。

 ハイド委員長はライス国務長官が出席した公聴会で、「米国の巨大なパワーは机上の外交アプローチを可能にしている」とした上で、「一部の人たちには、民主化が多くの問題で容易な解決を約束しているかのようだが、慎重さが必要だ。世界を米国のイメージで作り変えられると見るべきではない」と訴えた。

 米国は先月末のパレスチナ評議会選挙で予定通りの実施を強く求めた。しかし、その結果は予想外であり、ライス長官は「パレスチナ住民の動向をつかむ十分な感覚がなかった」と率直に認めている。「ハマス・ショック」が露呈したのは、ブッシュ政権民主化路線がどれだけの中東情勢の把握の上に成り立っているのかという疑問だ。

 中東政策に詳しい米議会筋は「ハマスの勝利は米国の中東民主化への強い逆風になった。選挙の実施で各国に圧力をかける前に、民主化を支える市民社会の基盤強化を目指すことが優先課題だ」と問題点を指摘する。


ハマスが勝ったせいで、アメリカは数十億ドルのパレスチナ自治政府への援助を返還させるのだという。ひどい話だと思う。ハマスが支持されているのは、福祉等をきちんとやっていうからだ。例えば以下。

 二〇〇〇年秋の紛争激化以来、イスラエル軍自治区を封鎖してパレスチナ経済は壊滅、自治政府の無策に対する批判は高まるばかりだ。ガザ市郊外には失業者の抗議のテントが張られ、ハマス系組織が小麦などと交換可能な百シェケル(二千八百円)相当のクーポン券を配っていた。八七年の第一次インティファーダ(対イスラエル闘争)から生まれたハマスは、教育、福祉、医療活動も行う慈善団体でもある。

(2003年1月5日日曜日付讀賣新聞朝刊9面、当間敏雄「さまよえる中東■3 変わるパレスチナ闘争 民族運動に原理主義の波」、187字)

アーレントのいう「難民」というエレメントで思考するという時、パレスチナの問題を避けて通ることはできない。私達は、自分達の特権に閉じ篭るのでもなく、被抑圧民族に想像的に自己同一化するのでもなく、ジュネのように、「傍らにある」あり方でそれに関わっていかなければならない、と思う。人権もシビル・ライツも機能しない場で、尚抵抗するには、「統治される者の権利」(酒井隆史『自由論』)に立脚するしかないのではないか、などと考える。

以下は、『ぜいとぅーん』の編集後記に皆川万葉さんが書いた文章。(太字強調は引用者の私。)

編集後記
 パレスチナを移動する主な手段は、乗客が7人ほど乗れる乗り合いタクシーです。私が外国人であるため、質問するよりされる方が多くなってしまうのですが、車内の人たちと話が弾むこともあります。

 ベツレヘムからエルサレムに戻る途中の乗り合いタクシーには元気な女子学生が乗り合わせ、車内全体が笑いの絶えない和やかな雰囲気でした。

 イスラエル軍による路上の検問で混雑し、私たちの乗り合いタクシーも待たされました。その時女子学生が後ろを振り返り車が数珠つなぎになっているのを見て「結婚式みたい」と言うので、車内は爆笑。結婚式のとき新婦を迎え、新郎の家や結婚式会場に向かう際、先頭のお花やテープを飾った車の後を親族の車が続く様子を連想したのです。

 パレスチナの、状況を笑い飛ばす精神には、いつも驚かされます。困難な状況が続く中、家族を大切にし、日々を楽しみ、日常生活を続けて行く。友人たちは「それしか方法がないから」と言いますが、簡単なことではないでしょう。
 パレスチナイスラエルも、まもなく選挙です。シンディアナのユダヤ人スタッフの子供が「高校の友達にシンディアナの活動のことを話すことはあるけれど、議論にはならない。」と言っていました。選挙を機会に、本当の平和、共存とは何なのか、議論になることを願っています。

 振り返って、平和で「豊かな」時代なのに自殺者が3万人を超す状況が続いている日本のことを考えさせられました。いまの日本社会の重苦しさはなんだろう。貧富の格差が広がり、時間に追われ、家族や友人とゆっくりした時間、暖かい時間を持つことが少ないのはなぜだろう。

 日本は、このまま「強者の論理」で、国内的には競争社会、不平等社会、相互扶助のない社会に進むのか。国際的には、武力で物事を解決することに参加して行くのか。私たちが本当にどのような社会、国家を目指すのか正念場の一年になりそうです。

パレスチナ・オリーブの商品を販売する中で、買って下さっている皆様の平和への想い、活動をお聞きすることが多く、励みになっております。また、イスラエルパレスチナで友人たちが頑張っているのだから、社会を変えて行くことをあきらめてはいけない、とも思います。

 ひとりひとりが大事にされる社会を目指しフェアトレードを続けますので、今年もよろしくお願いします。