不幸な事件

動機が不明な残酷な事件が起こると、社会全体が「不安」に囚われ、「精神病」者とラベリングされた人達を排除しようとする。しかし、「精神病」者が犯罪を犯す確率はいわゆる健常者が犯罪を犯す確率より低いとも言われている。不幸な事件が、隔離・排除政策の推進に繋がらないよう、声をあげていきたい。

心神喪失者等医療観察法廃止署名にご協力を
http://nagano.dee.cc/0505syomei.htm

日本は社会全体が息苦しい閉塞感に包まれている。こういう事件が起こると、それがますます昂進する。「安全」「治安」を口実にした警察権力や拘禁権力が台頭してくることに対し、私達はもっと自覚的に警戒を強めなければならない。

事件については、背景が何も分からないのでコメントのしようもないが、通院中であったり入院経験があるから「危険」な人なのだという印象操作がされつつあるようで、とても不快。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=4646&media_id=2

<滋賀2園児殺害>鄭容疑者、精神不安定で通院入院歴も
(毎日新聞 - 02月18日 15:29)

 滋賀県長浜市で園児2人が別の園児の母親に刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された鄭永善容疑者(34)が以前から精神的に不安定な状態で、事件を起こした17日の前夜、不眠を家族に訴えていたことが県警捜査本部の調べで分かった。また、鄭容疑者が武友若奈ちゃん(5)と佐野迅ちゃん(5)を車に乗せた後、会話をせずに現場に向かっていたことも判明。2人はほとんど抵抗できずに約20カ所も体を包丁で刺されており、県警捜査本部は鄭容疑者がちゅうちょすることなく殺害に及んだとみて、動機について追及している。

 調べでは、鄭容疑者は精神的に不安定になり、03年9月〜05年10月、長浜市内の病院に通院。このうち、04年3月から約4カ月間は入院していた。

 16日夜も不眠に悩まされ、夫が17日の朝、事件のことを知らずに「妻の体調が相当悪いので、長女の面倒を見てほしい」と親類に頼んでいたという。

 一方、鄭容疑者は「朝起きて、殺害を思い立った」と供述しており、17日朝、自宅を出発する直前に台所にあった包丁を車に持ち込んだ。2人を後部席に乗せて幼稚園に向かい、そのまま約1.5キロ離れた農道で車を止め、後部ドアを開けて車外から順番に2人を刺した。

 鄭容疑者はこの間、2人と言葉を交わさずに殺害に及んだと供述した。現場から逃走し、約50キロ離れた大津市内で緊急逮捕されるまで、助手席にいた長女ともほとんど会話しなかったという。

精神病を理由に無罪になることは稀だし、仮にそうなっても、精神病院での長期間の拘束が待っている。

心神喪失者等医療観察法というのはまさにそういう法律。

1 事実認定は、通常の裁判手続で行われるべきである。事実認定に争いがあるとき、弁護士が弁護士としての業務を十分に果たせない制度や審判構造は精神障害者差別である。

1 刑事事犯に当たる行為を行ったというのが、前提にあり、つまるところ応報と将来の社会に対する危険性除去が目的であることは否定できない。応報についていえば、罪刑法定主義を無視するものであり、将来の危険性は強制医療を正当化できないばかりか、擬陽性(危険性がないのにありと判断されること)の問題を生む。そもそも、誰にも正確に判断できるはずもない将来の危険性で人を拘禁することは許されない。

1 拘禁施設がいかに厳重に警備されるか等を地元説明会で行っているようであるが、これは逆に言えば中に閉じ込められた人たちがいかに危険かということのキャンペーンになっており看過できない。法は手厚い医療と社会復帰を目的としているというが、そもそも法自体が精神障害者差別法であり、その施行のための説明会も差別をあおるものでしかないとき、対象とされ拘禁された人たちが地域に戻れるとは到底信じがたい。

1 現に一般精神医療と司法精神医療との考え方の違いを反映して、今に至るも法が指定する拘禁施設の建設はすすまず、法対象者の鑑定の基準あるいは鑑定のための入院中の処遇基準等々、ソフトの面でも到底このまま施行できる段階にはなっていないではないか。高度な手厚い医療とうたったからには、それなりの中身と納得できるソフトとハードを提示するべきであり、それが今にいたるも、なされていないということ自体すでに心神喪失者等医療観察法は破綻しているのであるから、即刻廃止するべきである。