フセイン元大統領拘束の報せに触れて

フセイン元大統領が拘束されたというニュースが入りました。

心配は、これで鬼畜米英侵略軍が行ってきた大量殺戮・大量破壊
が正当化されてしまうのではないかということ。

わたしはずっと迷っていましたが、反戦の側につくのを決意したのは
2月2日のデモに行きがけに読んだ酒井啓子イラクアメリカ』(岩波新書
およびジョエル・アンドレアス『戦争中毒』(合同出版)がきっかけでした。

http://www.tcxpress.com/sets_01.html

それまでは反戦の主張をすることはフセイン独裁を支持することになるのではと
迷っていました。しかし、鬼畜米英帝国主義にもフセイン独裁にもNO! と
言えるし、そう言わなければならないと考えて、以後、反戦デモ等に頻繁に
行くようになりました。

米英がイラクの人びとにした大量殺戮・大量破壊行為の責任は、フセイン
の身柄が拘束されようとされまいと、消えることがありません。
しかし、フセイン拘束によって現状追認へと説得されてしまう人びとが
いるのではないかと心配です。

自衛隊なども、曖昧なまま派兵されてしまうのではないか?

米英の不当な占領に加担することは、フセイン個人云々を超えて、
アラブの人びとからの憎悪を招くことにつながるのだと主張し続けて
いかなければならないと思います。


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フセイン氏については、宅間守や麻原に対するのと同じような気持ちです。
残酷な独裁者だったにせよ、暗殺作戦でミサイル一発で消されてしまったり、
二人の息子や孫などのように米英軍に銃殺されたりせずに、「拘束」であった
ことを取り敢えず喜びたいと思います。

サダム・フセイン氏がいかに残酷な独裁者であったとしても、死刑反対の
筋は通したいと思います。彼の処遇については、イラク民衆自身がそれを
決めるべきですし、鬼畜米英占領軍がそれを決めるべきではありません。


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緊急の記者会見をみながらメールを打っています。

喜びに沸くバグダッド市民、記者会見場などが映しだされます。
確かにフセイン独裁はひどいものだったでしょうが、米英の侵略の大義として
フセイン放逐が後づけで利用されることがあってはならないと思います。

ブレマー行政官は最初の一言で「彼を捕まえた」と言い、記者らが喜びに沸く。
ブレマー行政官は、「平和」「和解」「民主的なイラク」…といった美辞麗句を
並べた。「イラクの歴史のなかで偉大な日」──フセインが除かれたことは
喜ぶべきかもしれないが、フセインを育てたのはアメリカだったことを
忘れてはならないでしょう。

サンチェス司令官が会見しています。ティクリット近くの農場で、一発の銃弾も
使わず、拘束がなされたとのこと。作戦の詳細が報告されています。
地下に隠れていた居場所の映像、拘束後のフセイン氏の映像が流される。
わたしのような日本人には、サティアンに隠れていた麻原の逮捕劇の
大掛かりな繰り返しに見えます。
「見世物」として効果を計算して作り上げられていると思えます。

記者会見は続いていますが、ここで一旦切ってメールを送ります。

確認その1.フセイン拘束によって、鬼畜米英の大量殺戮・大量破壊の責任が
不問に付されることがあってはならない。

確認その2.フセイン拘束によって、「安全」になるからイラク自衛隊
送っても良いなどと考えてはならない。情勢は不透明だし、そもそも海外派兵
違憲英米占領軍への加担はアラブ民衆の憎悪を招く。劣化ウラン被曝の
危険もある。

確認その3.美辞麗句に騙されてはならない。歓喜の声に騙されてはならない。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031214-00000011-yom-int

フセイン元大統領を生存のまま拘束…米軍

 【バグダッド=岡本道郎】イラク統治評議会によると、イラクを占領下に置く米軍
当局は14日、サダム・フセイン元大統領(66)をイラク中部ティクリートで生存
したまま拘束した。

 元大統領の2人の息子はすでに死亡しており、イラク戦争終結後8か月以上にわた
り行方をくらましていた元大統領の身柄確保により、フセイン一族による支配は名実
ともに終わった。

 フセイン氏はナンバー2時代を含めて30年以上、イラクの独裁者として君臨。息
子のウダイ、クサイ両氏など同族・近親者を軍・治安機関の要職に配して堅固な権力
体制を築き、アラブ世界の覇者をめざしてきた。

 イラク戦争は3月20日、元大統領の暗殺を狙った空爆で始まった。米軍は圧倒的
な戦力で進撃。4月9日に首都バグダッドが陥落してフセイン政権は崩壊した。同月
14日には最後の拠点ティクリートも制圧され、米英軍がイラク全土を掌握した。

 その後、フセイン氏の行方は不明だったが、側近や2人の息子を含む親族が次々と
拘束・殺害され、米軍の包囲網は徐々に狭まっていた。(読売新聞)
[12月14日21時0分更新]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031215-00000029-mai-int

フセイン氏拘束>多数の仲間と一緒に潜伏 あごヒゲで変装

 【バグダッド福島良典】イラクを占領する米軍当局は14日、イラクのサダム・フ
セイン元大統領(66)を13日イラク北部のティクリートで拘束したと発表した。
元大統領はバグダッドが制圧されてから約8カ月間、行方不明となっていた。元大統
領の拘束は米英軍占領当局にゲリラ的な抵抗を続ける旧政権勢力には大きな打撃とな
ると見られる。

 元大統領は故郷のテイクリートの民家の地下室に多数の仲間と一緒に潜伏している
ところを発見され、米軍部隊が踏み込み、拘束した。あごに付けヒゲをするなど変装
をしていたという。米軍当局はDNA鑑定を行い、本人と確認した。米軍部隊は元大
統領を拘束したが、連行先は発表していない。

 元大統領の拘束は、テロの頻発で治安情勢の悪化に悩む占領当局にとっては、7月
フセイン大統領の息子2人の死亡以来の大きな成果となる。

 ただ、フセイン元政権の勢力以外にも、米国主導の占領統治に不満を持つイラク
民や外国の勢力が反米テロ活動を展開しており、今回の元大統領の拘束で今後の治安
情勢が改善すると言い切れない状況にある。

 また、フセイン元大統領の拘束により、米英が戦争目的としてきたイラクの大量破
壊兵器開発の証拠が発見されるかどうかも、今後の焦点となる。(毎日新聞
[12月14日21時24分更新]