イラク派遣自衛官・民間人への差別について

以下、レインボーリングメーリングリストに送ったものです。
おしえてくれた方には、国民通貨いがいのものなら、どのような通貨であれ(レインボーリングであれWATであれmetaであれ…)希望のものを希望の額だけ支払いたいと思っています。


Subject: [r-ring] 【もとめます】イラク派遣自衛官・民間人への差別について

みなさん、

 わたしは環境問題や劣化ウランにくわしくないので、
以下のメールでかいた疑問にこたえてくれる方に、
レインボーリングでお礼をしたいと思っています。
額については、できるだけその方の希望額で
お支払いします。

 どうかご教示をお願いいたします。

 なおfolle というのは、ほとんど機能していませんが、
わたしが運営しているMLの名で、「狂女」といういみと、
ドラァグクィーン」(=派手に女装したゲイ男性)
といういみと、ふたつのいみがあることばです。

 2通のメールがあります。


【1通目】

Subject: [folle:0096] イラク派遣自衛官・民間人への差別について
Message-Id: <20031126041615b$#G2M@pop17.odn.ne.jp>

 以下、ある人に送った私信です。

 そっちょくな感想をうかがえればと思います。
 劣化ウランによって被曝した人との性行為を通じての二次被曝、
というのは、兵士=男性、パートナー=女性といった関係以外の
性的少数者にとってもおなじく問題になるのではないだろうか、
そのばあいの反差別のとりくみには、HIVにたいする
セーファーセックスの奨励とおなじようなことが必要なのでは
ないか、と思ったのですが、どうでしょうか…


++++++++++

摂津さんの繊細さを、心強く思っています。
わたしもこれ、気になっているからです。
自衛隊員が放射能汚染物体になるんだぞ、その妻も、生まれてくる子供も、そばに
いる人はその影響を受けるんだぞ」という恫喝的警告は、帰国した自衛隊員とその家
族への差別をうまないだろうか、ということもさりながら、まずイラクの人びとのこ
とを考えるべきではないのか、と思うし、わたしも友人がNGOでバグダッドにいる
ので、憮然としてしまいます。
事実はたしかにそうなのですが、もうすこし配慮のある言い方をしないと、と思いま
す、自戒をこめて。

 わたしはすこしも「繊細」ではありません。
 「左翼暴力主義」といわれて非難されています。
 そしてあるいみでは、そのとおりです。

 しかし、**さんの指摘をうけてずっと、万一派兵・派遣された
場合の自衛官、民間人への差別の問題について考えてきました。

 米兵・自衛官人権ホットラインの集会できくちゆみさんのお話を
うかがったときすでに、特にゲイでの間のHIVの問題を想起しました。
精液に含まれる放射能がパートナーへの二次的な被曝をうむ、
という問題提起のとき、兵士は男性で、パートナーは女性である
いわゆる「普通」の異性愛婚姻関係が前提されていますが、
もちろん男性同性愛のパートナーシップの場合も同じような
二次的な被曝の問題、そこから生まれるかもしれない、
派兵・派遣された個人への差別、および自衛官という職業自体
への差別の問題がでてきます。

 そして、かりにイラクに誰かが派兵・派遣されたとして、
そのひとが劣化ウラン放射能で汚染されているかどうかは、
ひとりにつき12万円もかかる尿検査によってしか明らかに
ならないのですから、事実上、誰が放射能によって傷ついて
おり、誰が傷ついていないかは、識別不可能です。

 だから、HIVの場合と同じように、セーファーセックスの
推進ということしか、差別をうまずに二次被曝をふせぐ
方法はないのではないか、と思うようになりました。

 月曜にドラコビッチ博士の講演をきいたときの感想を
幾つかのMLに送ったものを、以下にコピーしておきます。

 それでは失礼します。


攝津


Subject: ドラコビッチ博士

みなさん、

 昨日(月曜・祝日)の晩、ドラコビッチ博士の講演の東京集会があり、
それをきくことができました。

 理数系(自然科学)の知識をほぼ完全に欠いているので、
わたしからは適切な報告はできませんが、わたしの隣の席で志葉玲さんが
熱心にノートPCで記録を取っていたし、隣の隣では小林一朗さんが
音声録音係をしていたので、そのうちどこかのMLかウェブで詳細な報告が
なされることと思います。また、わたしはドラコビッチ博士の最新報告を
含むパンフレット(400円)を買ったので、理解できる範囲で
読んでみようと思っています。

(いまのところは、さしあたり以下をみてください。)
  http://www.jca.apc.org/stopUSwar/UMRC/durakovic.htm
  http://www.jca.apc.org/mihama/annai/shukai_durakovic.htm

 ドラコビッチ博士が、科学者・医師としてのパブリックな倫理の力で
軍隊の縦割りの規則に抗い、軍を解雇されても「独立系」科学者として
放射能兵器」の調査・告発を続けているというのは、たいへんな
希望にみえました。


 劣化ウランで汚染されたイラク自衛隊が行くのは、まるで
死にに行くようなものであり、現地のひとたちの抵抗攻撃で死ななくても
放射能で被曝し緩慢に苦しみながら死ぬかもしれません。

(また、自衛官が男性の場合、帰還後精液に含まれる放射能を介して
パートナーにも被曝の危険があることから、異性愛者であれ同性愛者
であれ、バイセクシャルであれ、HIV患者と同様、せーファーセックスの
必要がでてきます。自衛官のみならず現地に派遣される民間人も
同じです。誰が被曝しているのかわからないから、識別は不可能
であり、けっきょくセーファーセックスを普及することによってしか
パートナーの二次的な被曝を防ぐ方法はありません。)

 国会も始まり、大江健三郎も出演した今晩の『ニュースステーション
では、小泉首相の答弁が放映されていましたが、自衛隊派兵について、

 「状況をみて判断する」

と繰り返すばかりでした。その「状況」をみるということのうちに、
劣化ウランによる現地の汚染ということを含めて考えてほしいし、
そうなるように(微力ではあっても)働きかけなければいけないと
思いました。デモや請願署名にどれくらいの実際の効果があるのか、
「戦略」的に考えるということをする習慣のないわたしには
実のところ良く分かりませんが、できるだけの努力を続けたいと
思っています。



(以下、OPEN-J 389【人間らしさを手放すな】より)

きくちゆみ

11月20日に、UMRC(ウラニウム・メディカル・リサーチ・センター)所長の
ドラコビッチ博士の記者会見が参議院議員会館で行われ、通訳をさせていただき
ました。劣化ウランについてはかなり知っているつもりではいましたが、軍医と
して湾岸戦争の帰還兵の治療と検査を直接担当し、尿の中の劣化ウランをつきと
め、その研究のためにペンタゴンに相当な圧力をかけられ、最後には解雇され、
その後、イラクアフガニスタン劣化ウランによって病気になった患者の検査
と治療を無料で行っている医師の言葉は、とても重たいものでした。今回は、ア
フガニスタンとイラクで現地調査を行った最新資料をもっての来日です。全国各
地で講演会がありますので、ぜひお出かけください。東京は24日。

(講演会情報)

東京新聞が個別インタビューをしたのですが、その記事が21日の夕刊に掲載さ
れましたので、ご覧ください。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20031121/eve_____sya_____003.shtml

ドラコビッチ博士の「1991年の湾岸戦争の前と後では、私たちは違う世界に
住んでいることを自覚しなくてはならない。劣化ウランの微粒子を大気中に大量
にばらまく放射能戦争は、人間を含む全生命に重大な影響を未来永劫に与え続け
るのだ。」という言葉が、私の頭の中を反芻しています。

そんな地球で私たちはまだ戦争を続けている。そんなイラクに私たちは自衛隊
送ろうとしている。どうして?他に方法はないの?安心して生きていける場所が
なくなってしまうよ。もう争うの、やめようよ・・・。

【2通目】

Subject: [folle:0097] Re: イラク派遣自衛官・民間人への差別について
Message-Id: <200311260439390QCdTz@pop17.odn.ne.jp>

 先ほどのメールですが、

 要するに、劣化ウランによる被曝という問題を、
性という視点からとらえかえす必要があるのではないか、ということです。

 そして、HIVの場合とどうように、どのような行為が危険で、
どのような防御策があるのか、という点から対策をたて、
差別が生じないようにする必要があると思っています。

 ドラコビッチ博士は、わたしの記憶では、髪の毛や爪などからは
劣化ウラン放射能の反応はしめされない、だからひとりにつき12万円も
費用が掛かる尿検査をするのだ、といっていましたが、

…ということは、日常的な接触によっては二次被曝はなく、特に「精液」に
含まれる放射能をくりかえしうけた場合にパートナー(同性であれ異性であれ)
への二次被曝の問題がしょうじるのだとしたら、HIVのばあいのように、
セーファーセックスによって二次被曝をふせぐことができるのではないか、
派兵された人(自衛官であれ民間人であれ)およびイラク現地の人への差別を
うまないためには、セーファーセックスの推進しかないのではないだろうか、
と思いました。

 とはいえ、根本的な勘違いが含まれているかもしれない、とも思っています。

 たとえば、異性愛の関係で、万一イラクに派遣され帰還した男性が、
パートナーの女性とのあいだに子どもをもうけたいと思った場合、じぶんが
被曝しているのかしていないのか確かめる方法はないのだろうか。

 恒常的なパートナーシップをもたなければ被曝の可能性はないのか、どうか。

 障がいをもってうまれてくるかもしれない子どもへの差別の問題はどうか。

 あるいは、派兵・派遣された自衛官、民間人が女性であった場合、問題は
うまれてくる子どもが障がいをもつ可能性がたかいということだけなのか、
膣液などを介した二次被曝はあるのか、、、

 …といったことを考えだすと、きりがなくなります。

 自分だけが「安全」であればいいという考えでは駄目だと思います。
 「危険」が現にあることを前提したうえで、対策を考えるのでないといけないと
思います。

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Tadashi Settsu <aaf77610@pop17.odn.ne.jp>