『家畜人ヤプー』

どうしても不必要に早々と目が醒めてしまうが、数時間本とCDの整理。毛沢東『実践論・矛盾論』(松村一人・竹内好訳、岩波文庫)を読み、沼正三家畜人ヤプー』(角川文庫)を読む。『家畜人ヤプー』は白井聡氏が中国での発表に使ったのいうので気になって出してきたが、僕は非政治的というか反政治的な反動主義者で観念論哲学の信奉者、さらに文学主義者であって、政治と文学は別、さらに政治と性も別という意見の持ち主である。そうして昨今の(といってもその源流は安保闘争前後の共産党である)対米従属論にも不快感を抱いている。対米従属批判、民族自立論の政治的文脈で沼正三を読めば、そういう従属・隷属状態にあるのは屈辱なのでそれを脱却すべきだ、その主張が左右両翼のいずれから提起されようと、民族または国家としての主体性や自立性、他国から侵されることのない国家主権を回復すべきだ、それこそ唯一健全なありようだという実に健康的な発想しか生まれない。政治は別にそれで結構である。だが、爾余の事柄は断じて違うというのが僕の断乎とした意見であり確信である。ソニー・スティット・カルテットの『イッツ・マジック』を聴く。