おそよう、セカイ!

おそよう、セカイ!

ぼくがこれまで読んだ本のなかで、間違いなく一番面白かったのは、ニーチェの『この人を見よ』である。ぼくはそれを、手塚富雄訳の岩波文庫で読んでいる。

とりわけ、本文の冒頭が大好きだ。

「わたしという存在の幸福、おそらくはその無比な点は、わたしの負うている宿命から来ている。そのことを謎めいた形式で言い現わすなら、わたしは、わたしの父としてはすでに死んでおり、わたしの母としては生きつづけていて、年を重ねているのである。」

これほどに素晴らしい文章はこの世にはない、と思う。

written by iHatenaSync