Il faut cultiver notre jardin.

"Il faut cultiver notre jardin."、これは18世紀フランスの哲学者ヴォルテールが書いた諷刺小説『カンディード』の結びの言葉である。彼はそれを、ライプニッツオプティミズム、最善観を反駁するために書いたが、リスボンの大地震という当時の時代背景は我々にも興味深いものであろう。

主人公達は、この世界は最善なのだというライプニッツ哲学を信じて諸国を遍歴するが、悲惨な目に遭う。そして最終的に到達する結論が、"Il faut cultiver notre jardin."、「自分の庭を耕さなきゃね」、ということである。

それは様々に解釈され論評されることがあり、試練を経た後の現実的で前向きな展望だとみなされる場合もあれば、ただ単に私的な次元への回帰だと否定的に捉えられる場合もある。それは読者によって考え方が違うのは当たり前だが、我々が自らの能力を超えたことができない、というのはやむを得ないだろう。

それはともかく、私が上記の言葉を想い出したのは、昨日、自由民主党の総裁選で安倍晋三さんが勝利し、野田佳彦さんの政権の次は彼の政権になる可能性が高まったことについて、船橋市議のAさんが、自分には直接国政をどうこうできないから地方行政を頑張るしかない、とお書きだったからだ。確かにそれはその通りだ。だが、地方行政といっても、大阪市市長の橋下徹さんのような特異な方もいる。尤も橋下徹さんは、国政に打って出るそうだが。

カンディード 他五篇 (岩波文庫)

カンディード 他五篇 (岩波文庫)