暗鬱なる吾

繰り返すやうだがわれはくらし。くらきひとなり。
くらきひとゆゑ沈みてゐたり。言葉も少なし。
望みも持たず。気概すらなし。座して死を待つ。
もはや若くはあらず。人生僅か五十年と考へれば半ば過ぎたり。
今は二十一世紀、信長の時代にあらず。されど人の命、恐らく短くなるらむ。
被曝せしか否かもわからず。放射能は見へず。匂ひもせず。只作用するのみ。
それこそ現實的なるものなり。
知らぬうちに被曝し、いずれ発病し死に至るは必定なり。
死ぬるが早きか遅きかのみの違ひなり。
人みないずれ死すべきものなり。
被曝にて死ぬるか、貧窮にて死ぬるか、様々なり。
貧ゆゑ死すると云ふはおろかか。おろかかもしれぬ。然れども貧を抜け出る術知らず。
一生貧なり。金銭なし。財産なし。意欲もなし。家庭はくらし。われくらきがゆゑなり。
われ働き盛りの歳なれど働く能はず。くらきゆゑなり。くらきひとは雇はれず。
また雇はれたしともおもへず。
獨りゐて機會あらば死にたしとぞおもふ。死するときは獨りと思ひ定めたり。
只殺めずとのみ決めたり。死刑になりたしとて人を数多殺めるはおろかなり。
只己獨りが静かに死すれば良き事なり。