自営業に休日はない。

最近『黒揚羽の夏』という幻想小説ポプラ社から出した倉数茂さんと会う約束をしていたが、彼の都合で取り消しになった。それは私にも実は、都合が良かった。というのも、船橋まで往復する交通費640円も自分の家計には負担だったからであり、15時からの『相棒』の再放送が見たかったからでもある。

正午、アナログ放送終了してもテレビが映ることを確認し、TSUTAYAに行って芸音音楽アカデミー=攝津正塾の宣伝ポスティング用チラシを100部コピーしてきた(A3サイズ1枚5円で100部=500円)。ジャズを流しながら、誰もいない芸音で(というのも今日のレッスンは生徒の都合で延期になったのである)チラシを四つ折りにし、封筒に封入する作業をした。かつてパートタイマーとして働いていた時もよくこういう労働をやらされていたな、と記憶が蘇る。自営業に休日はない。レッスンがない日はチラシ封入やポスティングなどの地道な営業活動をしなければならぬ。しかも、それには賃金は出ない。賃労働ではないからである。私は自営業の経営者である。一人社長。

約1時間作業してチラシ折り込みが終了し、封筒を20部ずつ輪ゴムで束ねて水色の小さな袋に入れた。全部で5束あるわけである。今日行くか明日行くか分からぬが、ポスティングが楽しみだと思った。自営業の労働は楽しい労働である。他人の指示で動くわけではないから。そのようなことを考えた。