その1

小さな部屋の寝台の上で、黄色い肌をした十七、八歳位の中肉中背の少年二人が、全裸で絡み合っていた。少年が少年の唇を吸い、舌を絡ませ、右手は猛々しく隆々と勃起した相手の男根をしっかり握り締めていた。カーテンは閉め切られていた。

──と書いて私は、筆を置いた。これが私の「同性愛のイメージ」である。しかるに私は、もう三十六歳になる中年男性である。もう、十代の若い肉体を持ってはいない。そのことは取り返しがつかぬ。デブでハゲの醜い中年男、それが私だ。私は、若者に誰彼構わず嫉妬した。性の愉楽を味わい得る若い肉体を持った者なら誰であれ。

私は精神病者で薬漬け、その副作用で全くの性的不能である。快楽を味わいたくても、できない。その意識が、欲望を憎悪へと変えた。自分が快感を味わえないなら、快感を味わえる人間を虐殺することでしか、鬱憤晴らしはできまい。私は潜在的な快楽殺人者であった。