評価経済社会あるいは国民スナフキン化計画への返信

高木慎介さん、ナマケモノ倶楽部の皆さん、
こんばんは。地域通貨研究所です(^^)/

ナマケモノ倶楽部は、凄いですね。私が、会費が払えなくて脱会したのが、5年くらい前かな。それで、出戻りで戻ってきたのですが、会員が凄く増えている。ナマケモノ倶楽部の発信するスロー(ゆっくり)という価値観に賛同する人が増えている、ということなのかなあと思います。

辻信一さんの本を何冊か読みました。それで考えたのですが、スロー運動というのは、基本的に経済学の発想と異なっているのではないかなと。このところ個人的興味で、経済学の本をあれこれ読んだのですが、古典派から現代に至るまで、経済学の想定する人間像(ホモ・エコノミクス)というのは、超合理的で超利己的という特徴を持っています。でも、現実に生きている人間って、そんなに合理的でもなければ、自己の効用を常に最大化するような選択をしているわけでもないですよね。無駄な時間や回り道が常にある。

で、経済学は、効率を追い求めるけれども、それでは人間は幸せにはなれないのではないのか、という疑問が、スロー運動の根っこにあるような気がします。私も、それに賛同したので、ナマケモノ倶楽部に戻ったわけです。

まあ、それでも、現代テクノロジーであるインターネットやメールを使っているので、矛盾してはいるのですが。ジャズベーシストの友人を、FaceBookに誘ったら、自分はインターネット自体を完全にやめようと思っているので、お断りする、という返事がきました。そういう選択をする人もいるのです。それはそれで英断だと思います。

地域通貨の話をすれば、技術的インフラやコンピューターのプログラミングが問題なのであれば、誰でもLETSを立ち上げられるCCSPができたので、障害はなくなったはずです。それなのに、うまく広がっていない、とすれば、困難は内的なものではないか。水谷さんがおっしゃるところの、地域通貨的な価値観が、まだ一般に浸透していないから、地域通貨が広がらないのではないか、と思いました。

辻信一さんやLETS-Qを立ち上げた西部忠さんも入っているのですが(そして私も入っているのですが)、レインボーリングというLETSのMLがあります。そこでも、複数地域通貨市場の提案などをしているのですが、余り反響はないのですね。反響があったのは、JJプロジェクト(日本自立プロジェクト)とナマケモノ倶楽部でした。グローバル経済から身を引いて、地域が地域として自立できるように、という理念を持った人達から反響があったわけで、それも必然なのかなあ、と思っています。地域通貨は、「器」に過ぎません。それに内容を盛るのは、例えばスローなどの思想だと思います。

とりとめがないですが、地域通貨そのものが広がらなくても、スローな価値観が広がるのであれば、結果としてはそれでいいのかもしれない、と思いました。環境への配慮とか農林水産業の保護など、実質があればいいのだ、と。