Too late.

夕食は焼きうどんだった。TVで大卒で就職難の人が専門学校に入っているという報道をちらりと見て、「私は本当は研究者になりたかったんだけれどもな、力不足だった」と漏らしたら、両親が、「今からでも遅くない、応援するからやってみろ」と。当時の指導教官の教授にメール送ってみろと。
が、私は、too late(もう手遅れ)だと思うのである。
というのも、もう10年も外国語から遠ざかっていて外国語文献の読解も困難、新しいドゥルーズ研究者らから大きく遅れを取っている。というか、貧窮のため、当のドゥルーズの著書すら持っていない(図書館で借りる)ものもあるくらいだ。当然ながら、海外留学経験もなく、今後も海外に出ることもないと思う。
研究生活復帰は無理だし、望んでもいない。私は、第一義的には、ピアニストになりたい。そして、哲学者(研究者ではなく)・作家、物書きになりたいのである。
経済学を学んでみて一つだけ有益だと思ったのは、「トレードオフ」つまり希少性が根本にあるという現実を理解したことだ。ジャズを聴き演奏する時間を増やせば、哲学研究の時間は減る。一日24時間は平等に与えられており、全てのことを一挙にこなすのはどんな超人でも無理だ。ジャズを選べば、哲学を諦めねばならぬのである。逆に、哲学を選べばジャズを諦めねばならぬ。大学・大学院の頃は研究に没頭していて、音楽の演奏、楽器の練習も全くしなかったし、CDも買わなかった。今は、楽器を演奏し、CDを買う。音楽を選択しているのだ。この選択は間違いではないと思う。
ただ、音楽を、ジャズを選んだといっても、それでどうやって生計を立てればいいか、どう生活していけばいいかは全く分からぬ。それで絶望しているのである。問題は経済だ! 金銭だ! まあ、カネさえあれば幸せだとも思わないが、カネがなければ生きていけないのも事実である。ごくごく当たり前の基本的な前提だが。