地域通貨の失敗

外国は知らないが、日本では、安房マネーのような例外を除いて、ほとんど地域通貨はうまくいっていない。その理由は、私見では、国家と資本を軽視し過ぎたことによる。
通貨(貨幣)をデザインするというようなことを、公権力とも企業とも無縁にやろうとしたら、大変である。西部忠は、Qプロジェクトの失敗の理由を、我々NAM会員がQプロジェクトの企業化を妨害したからだと述べていたが、それは半分は当たっている。半分はというのは、例え企業化したとしても、もろもろの理由から、QがSNSなどに代わり得る存在にはならなかったと考えるからだ。むしろ事業に乗り出していたら失敗して、専従者の生活が火の車になっていたであろう。というようなことも余計なお世話と言うか。ならば、一緒にやる意味はないのだ。
レインボーリングにしても、実際の交換、取引はほとんどなく、ボランティアレベルに留まっている。
CCSPは、現在サイトが余りに重く、全く実用に供しない状態だが、そうなったのは、皮肉なことに、ビジネスモデルとして構築されなかったからだ。会費を取るにせよ、広告収入を上げるにせよ、何らかのかたちでビジネスとして自立しなければ、安定的なサービスを提供することはできない。その点で、mixiFaceBookTwitter等は参考になる。Youtubeニコニコ動画も。インターネットは無料が当たり前という文化に風穴を開けるのはそれほどに難しいのだ。
online LETSがうまくいかない理由は、(1) 売れるモノ・サービスや買いたいモノ・サービスが取引リストにない、(2) 技術的に煩瑣である、(3) 本人確認が厳格過ぎて気軽に登録できない、(4) そもそも貨幣(通貨)である必然性がない、などが挙げられる。西部忠LETSは「メディア」だと述べていたが、何故メディアが貨幣でなければならないのかの納得のいく論証はない。文化的メディアというなら、mixiFaceBookTwitterでいいではないか。貨幣でなくとも、「イイネ!」ボタンでいいではないか。どうして煩瑣で苛立たしい手続きを経由してonline LETSに登録し、地域通貨を使って取引せねばならないのか、そのインセンティブがどこにもない。
人間は交換を好む動物だとアダム・スミスは言った。そうかもしれない。そして、人間のそのような自然な性向をうまく引き出すような地域通貨もあるのかもしれない。だが、現状は茨の道である。