御滝不動尊

買い物の行き帰り、よく母親(攝津照子)が私に、私の大学受験の時、毎朝5時に起きて自転車で御滝不動尊までお参りに通ったという話を聞かせてくれる。それは確かにありがたかったと思うし、実際私は早稲田大学というまあ悪くはない大学には入れたのだが、基本そこで学んだことが何も現在活かせていない。「僕は何の専門家でもないよ」。私はこう言って母親に反駁する。すると母親は、「哲学の専門家、モダンジャズの専門家じゃないの」と言う。私は腹の中で失笑する。「本物の」専門家を知っているから、自分の贋物性、胡散臭さ、駄目さ加減を自覚せざるを得ないのである。大体フランス語がまずくて大学を追われたのにドゥルーズの専門家とかあり得ないっしょ。実際、私はドゥルーズの専門家ではない。単にドゥルーズの語り口(ということは、ドゥルーズの邦訳の語り口ということだが)が大好きな人間だというだけだ。ドゥルーズという人が好きなのだと言っても良い。
ジャズにせよ、マイミクになっていただいている、橋本一子さん、石田幹雄さん、宮野寛子さん、兵頭佐和子さん、(mixiを退会されたが)妹尾美里さんなどは「本物の」ジャズピアニストであるが、それに対して自分の演奏は…。
私は毎日欠かさずYoutubeに投稿するが、自分の演奏が良いとはそれほど思わない。自己顕示的であるわけでもない。ただ習慣から、そうしているのである。生きて呼吸をし、水を飲み排泄するのと同じように、演奏し、それをネットに上げる。だがそれで喰えるとも、喰って良いとも思えない。だから行き詰っている。
ここで一旦送る。