濱口さんのブログ

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実は、ここは攝津さんの疑問の趣旨がよく理解できませんでした。

わたしはまさに、物理的な労働時間の規制がきちんとされるならば「一定程度高給の人の時間外手当は適用除外という議論もあり得る」と論じてきているので、「この辺りが、よく分からない」というのがよく分からないというところです。

ただ、おそらくこうなのではないか、というところを腑分けしてみると、「濱口は一貫して、残業代ゼロ法案というフレームアップを疑義に付しており」というところにボタンの掛け違いがあったのかも知れません。

ここはたいへんねじれているのですが、もともと残業代規制しかないアメリカ由来のホワイトカラーエグゼンプションとは残業代ゼロ法案であり、それは(労使合意がある限り)別に命と健康の問題ではない以上、「無条件で反対」すべきものではないというのが出発点です。

ところが、規制改革会議などがこれを正直に残業代ゼロ法案だと言わずに仕事と生活の両立だの自由な働き方だのとお為ごかしをいって、物理的労働時間自体の適用除外という命と健康の問題として論ずべきものにしてしまい、それで通そうとした挙げ句に、残業代こそが問題だと思いこんでいるマスコミから残業代ゼロ法案だからけしからんというまことにひっくり返った批判を受けて沈没してしまったわけで、拙著のこの部分は、そういうさまざまな関係者のねじけた議論の有り様を批判するものになっているため、いかにも分かりにくいものになってしまったということなのではないかと思われます。

いや、お答えいただきはっきりしました。一定程度高給、というのをどの程度とするかをまさに労使が話し合って合意しなければならないのですね。