断片 #2

小供の頃の僕を惹き付けたのは、理不尽に去勢される少年達というテーマだった。戦争で捕虜になり、数千人もの少年が去勢されたというエピソードなどが最高に興奮させた。切り取られた数千本の男根と睾丸。血塗れの股間を想像するだけで萌えた。また、中国ではかつて、父親が罪を犯すと家族も連座するのだが、父親が死刑になる時、小供が罪一等を減じられて宮刑となり去勢されることがあったというが、自らが犯したわけでもない罪のために切り取られる生殖器を想像しては僕は興奮した。何故自分の性欲が、そのように加虐的で残虐な方向に向かうのか僕には自分で自分が分からなかった。また、宦官になって、切り取られた男根のうち体に埋もれていた部分が出てきた場合、再手術が命じられることがあったというが、一生のうちに何度も去勢されるということが僕を物凄く興奮させ性的な気分にさせた。そのような豪奢な残酷があっていいのだろうか。宦官には、公務に就いている時期より、傷の療養で病床に臥している時期のほうが長い者もいたというが、そのように非経済的で無駄なシステムが僕を魅了してやまなかった。また、安禄山が李豬児を宦官にした描写などが素晴らしく思えた。李豬児は最後には裏切り、安禄山の巨大な腹を切り裂くのだが。或る時代、宦官王国ができ、その皇帝は有能な者はまず去勢してから登用するといった徹底ぶりだったというが、そのような無駄で非経済的な豪奢に憧れた。地域は飛ぶが、古代ローマヘリオガバルスが飼っていた、人間の男根だけを食べて生きていたというライオン、ヘリオガバルスが塔の上から花々とともに投げ下ろしたという寄食者達の男根などにもうっとりした。