断念

今の職場で十年二十年勤務するとする。哲学者・芸術家として大成するという望みは果たせぬであろう。今の状況が明らかにしているように、休みなく八時間労働を続けるとなると思考や創造行為の時間がほとんど全くない。のみならず弾けず・書けぬ(描けぬ)状態になる。無能の人になるのである。そのような苛酷な犠牲を払ってでも、生活の維持のために、賃労働を継続せねばならぬか。ならぬであろう。そう思うと、必然性=窮迫の厳しさに慄然とする。が、やむを得ぬのである。