方法叙説 第二部読了感想

第二部で不安なところは、デカルトが、孤立した個人としてのわれに全幅の信頼を寄せており、群知性、アソシエィテッドされた悟性など、分業や協業の相関物である知性を考えていないことです。それは、十七世紀という時代の制約もありましょう。十八世紀には、ディドロらが分業と協業で『百科全書』を公刊します。それは、知のありようの変化なのです。

デカルトが挙げている例

  • 多数の親方の手でばらばらに作られた細工物には、ひとりで苦心して仕上げた作品ほどの完成が見られない
  • 建築家がひとりで建築を請け負ってやりあげた建築は、何人もかかって、もともと別の目的で建てられていた古い壁を役立てながら、やりくりして模様替えした建物よりも、美しくて整っているのがつね